under one umbrella

2003年10月12日(日) 誕生日

「もしもし」

「もしもし、あ…。勉強、してた?」

「あ、うん…してたっちゃしてたかな」

「何それ」

「さっきまで寝てて、今始めたとこだったから(笑)」

「(笑)」

「どうした?何か用?」

「ううん…。今さっき、ちょっと怖かったことがあって」

「はぁ」

「それでその…声が聞きたかっただけ」

「…(苦笑)あぁ、そう」

「あぁそうとは何よ!あーあ、あたしの愛の告白が…」

「(笑)何だそりゃ」

「(笑)冗談だけどね」

「…」

「…ごめん、本当にそれだけ」

「いいけど…何があったかぐらい話せよ」

「…いいの?」

「いいよ」

「…。…さっきスーパーで…お母さん倒れちゃって」

「…」

「倒れたっていうか、なんかおかしくなって。痙攣とかしてて」

「…」

「救急車呼んで、病院行って…」

「…」

「今帰って来たんだけど…独りでいたら怖くて怖くて」

「…何て言えばいいのか、わかんないけど…」

「ううん!いいの。聞いてくれただけで、嬉しい」

「…」

「本当に…陽ちゃんの声が聞きたかっただけなの」

「…そう…」

「勉強、してたんでしょ?ごめんね」

「いや」

「じゃあ、頑張って。ありがとう」

「ああ。じゃあ…」

「うん。ばいばい」
ピッ。


切って初めて、ああ、あたし正気じゃないと思った。
こんな時期に寺島に電話するなんて。
そうして否応なく、まだ寺島に恋していることを思い知らされて。
恐怖と不安は確かに消えたけれど、
切ない気持ちが残ってしまったじゃないか。


あたし、馬鹿だ。


***

付け加え。

今日は寺島と、種元駿君の誕生日です。

駿君のご冥福をお祈りすると共に、
今この瞬間に生きていることの幸せと、罪深さを感じています。
これから一生、私の人生がいつ終わるかはわからないけれど、
この日が来る度に私は、思い出すでしょう。

そうした意味も、ひっくるめて、私は。
あなたに「おめでとう」を言います。
誕生日おめでとう。
生きていてくれてありがとう。
お母様。あの人を生んでくださってありがとうございます。
陽介さんがいらしたから。
今の私があるのです。



 < 過去  INDEX  未来 >


まりあ [MAIL] [BBS]
thanks for WhiteGarden


My追加