2003年10月09日(木) |
どちらが適任なのかという問題。 |
涙が、純粋な嬉しさからこぼれたものだと、 あたしが思えるのだからそれでいい。
元々あたし達には。 そのカタチが一番似合っていたのかもしれない。 過去を否定するわけではない。 それへの回り道だったと思えば哀しくもない。
思い当たることはいくらでも。 いつかの金曜日が、あんなに楽しかったのはそのせい。 「恋人」という名前のつく時間ではなかったから。 そう感じていたのは、やっぱりあたしだけじゃなかったのね。
「恋人」は辛すぎる。重たすぎる。 期待しすぎる。 あたし達はそれを克服できなかったと言えばそれまでだけれど、 それでも、お互いを失うことを選べなかったと言えば、 ちょっとは格好がつくだろう。
戻りたいと今は思わないし、これからも思わないと思う。 あの人のなかに、誰かが存在する限り。 その誰かが、あの人に幸せをくれるのだから、 嫉妬する理由なんてどこにあるだろう?
恋人と親友を兼ねた存在になることは無理だった。 どちらが適任なのかという問題。 適任であれば、寺島の傍にいられるのだからどちらでもかまいやしない。 そうしてどちらかと言えば。 何でも話し合える、親友になりたいとあたしは思った。 恋人だったときは、親友が羨ましかった。 寺島の本音を、何の不自然さもなく聞くことができるのだから。 どんなカタチであれ、あたしはいつも寺島の本音や愚痴を聞いてやりたいし、 寺島には、あたしの仕入れてくる噂話を聞いて欲しいと思う。
逆に言えば。 あたしはそれだけで十分で。 恋人のときと同じくらいの幸せを、感じていた。
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