寺島が何を望んでいるのか。考えてみたりもする。 寂しいのか、快楽だけが欲しいのか、私をキープしていたいのか。 ぐるぐる回って、結局よくわからなくなる。 だけど、じゃあ「私は」どうしたいのかって考えてみても、 それもまたわからない。 寺島に同情した気で会うけれど、自分が寂しいだけかもしれない。 本当に寺島のことを思うんなら、突き放さなきゃいけないんじゃないかな。 好きな人がいるんだから。
好きな人のことを考えて欲しいって、思う。 新しい恋を満喫して欲しいって、思う。 そして幸せになって欲しいって、思う。 それは私の嘘偽りない気持ちで。信じてもらえないかもしれないけど。 中三のときだってそうだったから。きっとまた出来るって思う。
キープされた存在なんて絶対嫌だし。 「私」を求めてくれる人と出逢いたい。 新しい恋をしたい。 好きな人と、幸せなキスを交わしたい。 寺島には、寺島の好きな人と幸せになって欲しい。
なのに、家へやってくる寺島の笑顔は、限りなく寂しそうで。 無防備な自分を私にさらして。 私の胸の中で目を閉じて。 私の指を求めて、離してくれない。 これが新しい恋をして、私から去っていった人なのかな。 もし私が拒否をしたら。 受験や、その他もろもろで、そのうちに壊れちゃうんじゃないかな。 そう思ってしまうのは、やっぱり、私の未練の表れでしかなく。 また、自分の一番嫌いな自分になっていく。
馬鹿ね。 もう帰って来はしないのだから。 傷つくのは自分なのに。 傷つく前に、自分から手を離してしまえばいいのに。 何をそんなに怖がるの?
|