under one umbrella

2003年09月04日(木) 私は信用出来ないし。



TVドラマのCMで、別れ話を切り出された女が、
そんなのは嫌だと言い張って席を立つ場面を何度も見た。
見る度に、あんな女にならなくてよかったと思った。
すがりついてでも別れたくない気持ちは、痛いほど理解るけど、
新しい人の存在が原因なら、やっぱり身を引くしかその場はないと思う。
市丸にそう言ったら、
「でもあっさり引かれるのも、嫌だよ」
と言った。
ちなみに市丸は、彼女が出来たら、
新しい人の出現など自分にはありえないと言った。
一生覚えといてやるつもりだ。


寺島にも聞いてみた。
昨日の場面に戻る。
「陽ちゃんだって、引き止められたくなかったでしょ?」
「…さあどっちだろ。わかんない」
「…」
男の人って身勝手だと、そのときは思った。
だけど、それはただ男のプライドが許さないだけかもしれないとも思った。
自分はあくまでも、女を多少なりと傷つける立場なわけで。
罪悪感もあるわけで。
泣かれる覚悟もしたし、別れ話が長引く予想もした。
そこで全く気にしない、未練もないような反応を示されると拍子抜け。
むしろ自分のほうがカッコ悪く見えて。
何だか釈然とせず、嫌なのかも知れない。
こんな偉そうに書くほど、男の心理を知っているわけではないけれど。
もしまた寺島が来たら。聞いてみようと思う。
引き止めたら、止まっていたかって。


「でも引き止めて、止まってくれてもさ。
私は信用出来ないし。
引き止めて束縛することで、余計にその人への想いを募らせちゃっても嫌だし。
元々私は、陽ちゃんを束縛なんてしたくないし」
体はくっつけたまま、私は真顔で淡々と話した。
「また私に逃げてくる代わりにより戻してなんて言わないよ。
今陽ちゃんには本当に、逃げ場がなくって辛そうだから。
私今彼氏いないし、好きな人もいないし。
別に空しさも感じない。
我慢できなかったら来ていいよ。来る?」
「…気が向いたらね」
来ないかも知れない。
本当にわからないけど。
寺島が甘えられる、今までの私じゃないって思ったかも知れない。
だけどそれならそれでいい。
拒否できなかった罪悪感、感じなくて済む。



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