図書館へ出かけた。 新聞の占いによると、私の恋愛運が絶好調らしかったから。 少し期待しながら、靴を履いた。
寺島がいるかも知れないなんて。本当に私の想像だったけれど。 ちらほらとカッコいい人を見つけては、一人ではしゃいでいた。 そんな感情は、久しぶりだった。 私は結構、ミーハーな面があり。 寺島がいたときも、他の人に目がゆくことがあったけれど。 心は全部寺島のものだったし。 彼氏がいるからダメだっていう意識もあったから。 他の男の人は極力見ないように、意識しないようにしていた。 今日はそんな、悪い言葉だけど束縛がなくて、 ああそうか、あの人だけじゃなくて私も自由なんだと、実感した。 不思議と、嬉しかった。
「空しくないのかよ」 市丸にそう聞き返されて。 初めてその感情に気がついた。 私にその感情がないハズないのに、それでも思いつかなかった。 空しい?何故? 思うべき人がいないから? でも私。それを哀しいとは思わない。 だって自由って。本当に素晴らしかった。
市丸はそんな私を、ちょっとさびしげに見ていた。 だけどね市丸。 未練たらしくて話せなかったけれど。 「―男は、新しい女に弱いが、飽きるのも早い。 そして、馴じんだ女の元に戻る―」 (大和書房刊 柴門ふみ著 『恋愛は終わらない』) その一文を何度も読み返したくて、借りてしまった。 そんな私も、確かにいる。
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