2003年06月28日(土) |
すっかり慣れてしまっていたから。 |
それはある日の学年集会で。 あたしの前に並んでいた、ある女の子。 その子がふいに後ろを向いて、あたしだけじゃなく、その辺の友達皆に対して話を始めた。
その子は、出身中学が同じで、寺島とも友達だ。 どちらかと言えばその子と寺島の方が、あたしとその子より仲が良い。 寺島がその子の相談役、という感じ。 ずっと、付き合う前から、あたしはその子に、嫉妬の感情を抱いていた。 付き合っていたときは、かろうじて収まっていた。 「付き合っている」という優越感があったから。
最近、彼氏との仲があまり上手くいってなかったらしい。 確かに、「恋愛したい」だとか、「愛されたい」と言っていた。 以前その子と彼氏はかなりラブラブで、その子はいつでもどこでも惚気ていたから、 皆本気とは思ってなかった。勿論、あたしも。 でもどうやら本音で、別れようとまでその子は思ってたらしい。 そしてそう思っていたことを、思い切って彼氏に話したんだそうだ。 そしたら彼氏は、 「お前が別れたがってることは、気づいてた。寺島のほうにいくんじゃないかと思ってた」 と言ったらしい。
あたしは、思いがけない名前にびっくりしていたけど、彼女は続けて、 「あたしが寺島とメールしたり、会って相談したりしてたからそう思ったらしいのよ〜」 と、言ってた。 彼女も含めてその場の友達皆が、彼女が寺島になびくコトなどありえないと思ってた様子だったけど、 あたしはそうは思えなかったし、寺島と彼女が会っていたということにもびっくりして、 その後の集会の話なんぞ頭に入らなかった。 はっきりと、炎の燃える音を聞いた。
前だったら、寺島が炎を消してくれた。 焦げた心を、癒してくれた。 だけど今は、寺島に頼ることはできない。 そんな状況には、すっかり慣れてしまっていたから。 1人でどんどん、感情をふくらませていった。
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