under one umbrella

2003年06月09日(月) 奴隷



その後のメールでは、それ以上の存在として扱われることはなかった。
あたしが真剣に話そうとしても…のらりくらりとした返事しか返ってこない。


「奴隷が出来たから、嬉しい」とか、「容赦なく使うから、覚悟しとけよ」とか…。
今までとは違いすぎる、言葉の羅列。
正直言うと、傷ついていた。
友達にもたくさん怒られた。
「そんな奴とは別れろ」と、皆言った。
自分の選んだ道が間違っていたことも、本当は理解っていた。
失うことが、怖かっただけだった。


あの人は本当は、そんな人じゃない。
「そんな人」になってしまったのなら、それはあたしの責任だ。
あたしを傷つけることで、あの人が元の人格に戻るのなら、いくら傷つけられたっていい。
今のあの人を見るのは、嫌だ。


その理屈は、彼があたしのことを、多少なりとも大事に思ってくれていなければ成立しない。
気づいたのは、もう少し後だった。
それでもやっぱり、失いたくなかった。


「奴隷」扱いされて、確かに傷ついたけれど、
あたしはどこかで、安心していたようなふしがある。
多分、無理して前に進まなくてもいいと思えたからだ。
今とりあえずは、この人を失うことはないんだと思えたからだ。
結局あたしは、そこに戻ってきてしまう。
馬鹿だ。
もう既に、失っているのに。




「奴隷」になってから、初めて会う日。
信じてはいたけど、少し緊張した。
あたしが信じているあの人など、もう存在しないのかもしれなかった。


↑VOTE.


気が抜けた。



 < 過去  INDEX  未来 >


まりあ [MAIL] [BBS]
thanks for WhiteGarden


My追加