風太郎ワールド
タリーズでカプチーノを飲んだ。アメリカで弁護士をしている友人が訪ねてきたのだ。
この店の、黒を基調としたガラス張りのデザインは気に入っている。喫煙室を完全にガラスで囲って別室にしているのも、好感を持てる。
私はタバコの煙が大嫌いなのだが、喫煙家の友人につき合って、そのガラスの部屋に入った。すると、やけに声が響く。すべての喫煙客の話し声が、クッキリはっきり聞こえるではないか。
「あたし、もう頭にきちゃって」 「やめなよー、そんなオトコ」
落ち着いて話ができない。友人に我慢してもらって、ガラスの箱から出る。 タリーズさん、何とかしてね、この反響構造。応援してんだから。
私は、カフェとかカプチーノバーの熱烈なファンだ。
20年以上前にアメリカに留学した時、おいしいコーヒーを飲む店がなくて、毎日が物足りなく、悲しかった。当時のアメリカのコーヒー事情は最悪だった。かつて「茶店王」と呼ばれた私は、日本の喫茶店が恋しかった。
ヨーロッパ人の指導教官に、 「ヨーロッパのコーヒーが世界で一番でしょう」 と尋ねると、日本通を自認するその教授曰く、
クーッ、いいこと言うねぇ。
ところが、80年代も後半に入ると、エスプレッソベースのカプチーノやラテなどを中心とした、ヨーロピアンタイプのカフェがアメリカでも増え、事情は一変した。
コーヒー一杯1ドルもしない国で、その3倍も値段の張るエスプレッソ。コーヒーの味も分からないアメリカ人が、お金を払うはずはないと思われたが、予想を覆して、カプチーノショップはアメリカで支持され、増殖を続けた。
私は、旅先で、あるいは飛行場で、とにかく行く先々で、必ずスターバックスを探し出しては、チェックした。場所によって微妙に味も違う。
ボーダーズという書店の中に入っているカフェも大好きだ。シカゴに行けば先ず、ダウンタウンのど真ん中にあるボーダーズでカプチーノを注文して、ウォータータワーと街行く人々を眺めながら、何時間も過ごした。ニューヨークタイムズを片手にさりげなく持って。(ようするに、そういう雰囲気が好きなのね ^^;)
日本に帰国する時、カプチーノを飲めなくなるのではないかという恐怖心にかられた。カプチーノがなければ、私のすべての創造活動は停止する。
という訳で、家庭用の一番いいカプチーノマシンを買って、わざわざ担いで帰ってきた。
当時は、あまりにもカプチーノバーが好きで、スターバックスにかけあって、日本での展開をやらせてもらおうかと、多少本気で考えていたほどだ。実行しないままに、サザビーという会社が日本でスターバックスを大流行させたのは、ご存知の通り。
もう10年近く前から、スターバックスは絶対日本で流行るという自信があった。何故なら、留学や旅行でアメリカにやって来る日本人の女の子達の間で、絶大な人気があったから。このポイントを見ていれば、数年後の日本でのトレンドが容易に予測できた。
いずれにしても、自分でスターバックスを展開するという人生はなくなった訳だが、最近は、タリーズやシアトルズ・ベスト・コーヒーなどのシアトル系に加えて、日本独自の質の良いカフェもあちこちに増え、カフェ好きにとっては大歓迎だ。
さて、そのスターバックス。日本進出以降、ものすごい勢いで店舗・売上拡大を記録し、スタバ・ブームも作ったが、最近は一店あたりの売上が落ちているらしい。
実は、スターバックスには弱点が2つある。私は、10年前にアメリカでスターバックスに通っている頃から、その2点に関していささか不満があった。無敵に思えるスターバックスだが、この弱点を突けば、他のカフェチェーンにも大きなチャンスが出てくると信じていた。
その弱点って何って?
それは‥‥宿題。読者の皆さんが自分で足を運んで、いろんなカフェを比べてください。よ〜く観察すると、コーヒー好き、カプチーノ好きなら、また、ひとりでの〜んびり読書するのが好きなら、きっと気づくはずです。
答えは、また別の機会に。
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