| 2006年05月17日(水) |
time to leave |
仕事後、また日比谷へ。レディースデーで今回は前から期待していたオゾンの新作「ぼくを葬(おく)る」を観る。スカパーのおかげもあったりでこの監督の映画は前作の「ふたりの5つの分かれ路」以外ほとんどは観ているんだけど、私はその中でもやっぱり「まぼろし」が本当にすごいと思っていて、あれはオゾンがすごいのか、本当に素晴らしい演技をみせたシャーロット・ランプリングがすごいのか、その両方なんだろうけど、やっぱりあれを30代の若さで撮れる映画監督っていうのはちょっとすごいんじゃないかと思う作品です。その「まぼろし」を死の3部作の1作目として、2作目がこの「ぼくを葬る」となるそうです。「まぼろし」では愛する人の死、そして「ぼくを葬る」では自分の死がテーマ。突然死の宣告を受けて短い余命を生きる主人公の映画はこれまでに観たことはあっても、ここまで主人公がひたすらに自分の死に向き合って最後を迎える作品も観た事がないもので、やっぱりこの人本当にすごい。こんな誰にも看取られない死があるとしても、それを1本の映画という表現でかたちにできるのは、もう後にも先にもこの人だけなんじゃないかと思う。主演のメルヴィル・プポーが見せる表情がまた素晴らしく、「まぼろし」でも印象に残る海がまた今作でも本当に美しいシーンで出てくる。やっぱり映画館で観れて良かった。
今はそんなこと思いもしないで毎日を生きていても、自分もいつか必ず死ぬ時が来るというのを身近な人の死で思い知らされるということは、生きていると必ず経験するものでも、具体的に自分がどういう風に死んでいけたらいいかとまで考えさせられたのは初めてです。死を前に、寄り掛かりたいと心から思える人が家族や恋人ではなかったというのは、悲しくてもあり得ないことじゃないはず。残される人のために死ぬまでの時間を生きる事もできるところを、そうはしない主人公の強さを思うと、こういう死に方が良いかどうかは別として本当に心に迫るものがあって、それはやっぱりそのままどう死ぬかということからどう生きるかということを考えさせられるものがありました。

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