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母のお供で北京故宮書の名宝展@江戸東京博物館。 両国は私も詳しくないし母にとって未知の世界。待ち合わせ場所の説明が面倒なので、実家に迎えにいって一緒に出かける。 今回の母とのデートは、本当はのびのびになって私の誕生祝。どうしても私の誕生日祝いに何かくれるというのだが、モノはいらない、じゃあご馳走する、というのででかけることにしていたのだが、年中「あたし忙しいの」が口癖の母がなかなか予定が立たず、気まぐれに言うことはころころ変わるし、いったんは日時や待ち合わせ場所まで決めたのに具合が悪くなってドタキャンされたりで、やっとこの日を迎えた。結局誕生日から1ヶ月以上経過している。 母としては、介護保険の認定手続きやら何かと私に世話になっているので、そのお礼の意味もあるのだろうが、元気でいさえすれば何もしなくていいんだけどな。これは美談ではなく、母が病気や怪我をするとこちらにコストがかかるからだ(ひどす。) チケットは65歳以上と高校生が半額、中学生以下が無料。若い人から年配の人までけっこう入っている。門前の小僧で名前だけは知っている中国の書家がずらりとならんでいる。ぐるぐると天衣無縫な書や、ありの行列のように文字が細かく整然と並んでいる書などを遠目に見る。こういうとき、漢文をもっと真面目に勉強しておけばよかったなぁと思う。 展示の目玉は王羲之「蘭亭序」(八柱第三本)で、王羲之が書いたオリジナルは太宗皇帝がお墓に持っていってしまったので、いくつかある写しの中で一番オリジナルに似ているという評判のもの。比較的空いている会場内でここだけ黒山の人だかりだった。展示を2/3ほどすぎたここまで見終わると、母の集中力が途切れたのか、「もう外にでてお茶を飲みたい。」という。あと少しで全部終わるからと気を取り直して見はじめたが、エアコンが効きすぎていて、最後は駆け足で見る。 あまりに冷えたのでとりあえず館内の喫茶室でホットコーヒーを飲んで、両国と錦糸町との中間にあるらしいネットで見つけた甘味処を目指す。両国から隅田川を挟んで馬喰横山あたりは古くから繊維問屋が多いせいなのか、その手の看板が多く目に付いたり、Tシャツなどを格安で売っている店などが何軒かある。Tシャツは7Lまであったりして、力士が買いにきたりするのかと想像するのも楽しい。母も興味深げにきょろきょろと見回して、その手の店を冷やかしたりする。途中でおせんべいを買ったりしながら目当ての甘味処へ。 甘味処は期待はずれ。甘味処というよりは和カフェと言ったほうが落ち着く。店内の調度などは雰囲気があってすばらしいが、中身は海の家かスキー場の食堂かと言う感じ。これはプロデューサが他にいるのだろう。店のコンセプトに実態がついていっていない。ランチプレートと、食後にあんみつとコーヒーのセットを頼んだが、家でも出来そうな簡単な和風ランチと、割高なファミレスの和スイーツとぬるいコーヒーだった。壁に「ゆっくりおくつろぎください。」と貼ってある。たしかに仕事が遅いので結果的にのんびりととりとめもなくおしゃべりを楽しんだが、わざわざこのためだけに行ったり並んで待ったりするところではない。 母もフラストレーションが残ったらしく、「こんな食事でゴメンなさいね。」と言う。 あのーお母さん、この店を探したのは私なんです。 店を出てから、母がパジャマを買いたいというのでユニクロで見立て、途中のムーミングッズ屋さんで、母が「今日の記念に買いたい。」というニョロニョロのハンドタオルをレジに並んで買い、家で待つ父の晩のおかずの調達に付き合い、母を家まで送りとどけて帰ってきた。 はー。疲れた。たしか今日は私の誕生日祝いだったはず…。 いやいや、しない善よりする偽善。しなかったことを後で後悔したくない。相手のために何かするなんていうのは、結局、自己満足なんじゃないか。 特別展「北京故宮 書の名宝展」 http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/kikaku/page/2008/0715/200807.html
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