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マダムから、百貨店の呉服売り場でゆかたの着こなしのトークショーをやるというご案内を頂いたので、雨の中のこのこ出かけていく。ようこさんにも声をかけたら、ちょうど着付けのお稽古を近くの呉服屋さんでやっているというので、現場で落ち合うことに。 新宿あたりの呉服売り場は閑散としているが、あいにくの雨なのに、さすが銀座は華やか。普段から着慣れている着物姿の人が目に付く。やや場違いなスーツ姿で所在なげにうろついたあと、トークショーの始まり。二畳ほどのステージがあり、その周りに1列だけ椅子が並べられたのをすかさずゲット。あまり意識しないで場所をとったのだが、結果的にそこが一番見やすい席だった。 お稽古あとの着物姿で現れたようこさんとゆったりと見物。 いよいよマダムが、モデル女性二人を従えて登場。一人は着物を扱うプロ、もう一人は現役女子高生との紹介。ゆかたを思い切り楽しみましょうということで、半幅帯を結んだ後で、帯締め代わりに兵児帯を結ぶとか、(ちょうちょ結びのような)都結びにさらに飾り紐をかけるとか、帯締めの房をわざと前脇(ちょうど印籠がぶら下がってるあたり??)にたらしてみせるとか、斬新な着こなしテクをつぎつぎ繰り出してくる。 マダムは常からゆかたを着物のように着こなしていらっしゃるのだが、これに輪をかけて斬新。マダムの教える着付け方法自体は、器具や仮紐に極力たよらない昔ながらの方法をとっているのと対照的。ちょっとこれは私のような素人がやったら笑われてしまいそう、という恐れのある組み合わせもマダムがやると、なるほどかっこいいと思わせてしまう迫力がある。どこまでが粋なはずしでどこからがKIMONO姫なのか、よくわからない。 いくつか紹介された中で、伊達衿をつけるというのは、よいアイディア。ゆかたは衿が直接素肌に触れるので、その部分が汚れやすい。衿が汚れたらそこだけはずして洗えばよいということで、おしゃれと実用の両面の利がある。普通の着物の伊達衿は、後ろ衿から見えないように控えるのが常だが、ゆかたにつける場合は、後ろ衿からはみ出す感じでつけるのがよいとか。 実用的といえば、マダムは付け(作り)帯推進派でもあるので、付け帯の紹介も。着物のプロの女性が最初に登場したときに締めていた帯は実は、付け帯だったという種あかしがあってちょっとしたオドロキ。当然見た目は全くわからないし、つけはずしのあまりの簡単さはあっけないほど。 そのほかにも商品紹介とデモがあった。レースの帯締めなどは本当にかわいらしい。ようこさんの今日の装いは、鴇色の細かい縞の着物にベージュの帯。紫系の着物に惹かれている様子。私達の反対側に陣取っていた、マダムの知り合いらしい一団の一人は、あざやかな黄緑地に縞の入った着物姿だったが、後で売り場を回ったあと、やはり黄緑の縞の今着ているものとそっくりな生地を手に取っていた。人はやはり好きなものばかりそろえてしまうものだなとようこさんと笑いあう。 その後、ようこさんが譲り受けた反物を預けたという呉服屋さんに寄って、しばらく遊ばせて貰う。若い男性店員さんがいろいろと見せてくれる。反物を広げてはそれを鮮やかな手つきでぽんぽんと弾ませながら丸めてもどす様子が見ていて楽しい。そういえば昔、兄の恩師が嫁いだ地方の呉服屋さんに家族で遊びに行ったことを突然思い出した。あのときもこうやって広げては丸めて、を繰り返してくれたっけ。 せっかく久しぶりに会ったのでちょっとお茶でもと思って外に出たものの、何しろ雨がひどくなってきたので、着物姿のようこさんとは遠出ができず、喫茶店もファストフードもない。最寄り駅の近くにあるレストランしか見当たらないので、突然食事をすることに。ディナーのオープン時間まで、その隣にリサイクル着物のアドバイザリングや着付け教室で名を馳せている女傑の店で時間をつぶす。買う気もないし、先方も無理に勧めてこないので、なんとなくふわふわと時間を過ごさせてもらった。たまたまエレベータで女傑と乗り合わせて、ようこさんすかさず「この前情熱大陸で拝見しましたー。」と話しかける。さすが。私は私で「先生のNHKから出た本を持ってますー。」というと、女傑も「あれはちょっと古くて、今新しいのが出てますので、よかったらぜひどうぞ。」さすが。 レストランは、学生の時から存在は知っていて入ったことがなかった店だったが、コストパフォーマンスのよい店で、帯締めが1本買えるぐらいの出費で、 目にも舌にもおいしく、久しぶりゆっくりおしゃべりをして、楽しかった。
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