WELLA
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2004年08月18日(水) オスロ

早寝したので5時半ぐらいに目が覚める。夫はもっと早くから起きていて、トイレで隠れ読書していた様子。外を見ると薄暗い。なんだ、普通の夜明けなのね。相変わらず旅行前に下調べしなさすぎである。
朝食はシリアルあり果物ありチーズありのビュッフェ形式だが、これに北欧の名物スモーガスボード(smorgasbord)という、肉や魚のビュッフェが合体していて、さらに焼きトマトや豆などの英国式もあるので、朝から大変なことである。何しろふんだんに食べものがある。饗宴(feast)という言葉が頭をよぎる。珍しいハムをとり、珍しいチーズをとり、ヨーグルトをとり、ゆで卵をとり、サーモンをとり、果物をとり、とかやっているうちにすっかりおなかが一杯になってしまった。あたりを見回すとアジア系が何人か見かけるが、圧倒的に西洋人が多い。しかも英語しか聞こえてこない。大都市のホテルだからそうなのだろうか。西洋人は自分が普段食べなれているものを選んでいるのか、少ない種類のものを大量に取って、バクバク食べている。隣の人は、食事が終わるといつの間に作ったのかパンにハムとチーズをはさんだもの(英国風のサンドイッチとは言いがたい)とバナナを手にして去っていった。なるほど、それをお昼にするのか。今日は機内食を冷蔵庫にしまってあるので、明日からそうしよう。バナナを持って帰ることにする。
午前中、テクテクと地図を片手に歩いて見る。お店や美術館は10時にならないと開かないし、あいにくの曇天で薄ら寒い。町はあまりきれいではないし、オスロは今日一日だけなので、なんとなく悲しい気持ちになる。国立博物館に入る。入場料無料。守衛さんが、大きな荷物は無料コインロッカーに入れるようにと、トークンを渡してくれる。写真撮影はOK。なんと寛大だろう。ムンクの作品を展示してある部屋もあり、ほほー、これが有名な「ムンクの叫び」か、としみじみ見る。今までムンクのモチーフやパロディはたくさん目にしてきたが、じっくり見ると言い知れぬ絶望感がひたひたと迫ってくる。見終わってからミュージアムショップへ行く。ムンクの叫び人形を売っているかと思って期待していたのだが、そんなものはなかった。絵葉書と複製画とポスターぐらい。ここは金策に走らなくていいらしい。併設のカフェでお茶を飲む。なんてことはないのだが、内装が垢抜けている。入場無料なのでここに食事だけ来る人もいるらしい。隣のご婦人方はサーモンの乗った巨大なオープンサンドを、一人でぶらりと入ってきた老人は新聞を読みながら赤のグラスワインを飲んでいた。
街の中央通をまっすぐ歩いていくと王宮に突き当たる。公園のまんなかにでんと構えているのだが、周りには申し訳程度の柵がめぐらされているだけで、窓も開け放ってあるし、警護があまりに手薄でびっくり。ノルウェーの王室は開かれていて有名だが、ここまでとは。衛兵交代を1時間ごとにやっていて、その周りを観光客がぞろぞろ歩いていく。天気がよくなってきたので公園を散策する。そういえばさっきの王宮は柵の中に庭がなかったが、庭を散歩したいときはどうするのだろう?やっぱり観光客に混じって歩き回るのだろうか。大きな衛兵交代が1時半から始まったのでそれを見物して、港のほうまで行く。途中でおもちゃやさんや雑貨の店を冷やかすが、あまりデザイン的に優れたものは見当たらない。これ!と思って手に取るとフィンランド製だったり、デンマーク製だったり。ノルウェーは工業デザインはいまいちなのか。港の市庁舎に入ってトイレを借りる。市庁舎なのにクロークがある。しかも大きい。ここでノーベル平和賞の授賞式が行われるそうだ。
それからしばらく歩いて近代美術館へ。周囲にはノルウェー銀行の建物が林立している。この美術館も元はそうだったらしく、いかにも古い銀行らしい重厚な建物である。現代美術でくらくらしたあと、目の前にある雰囲気のいいレストランに入ってテラスでビールを飲む。次々とおいしそうな料理が運ばれていくのを見ているうちにおなかがすいてきたので、少し早めの晩御飯にする。私は魚のスープ、夫はステーキ。どちらもおいしい。日が落ちてきたので、引き上げることにする。途中でデパートに行って食器やキッチン雑貨を見るが、これといってほしいものもなく、遠回りしてホテルへ帰る。
今日も早く寝る。


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