WELLA
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2004年07月28日(水) 遠い花火

午後8時過ぎに帰宅して、むっとする室内を換気しようと窓を開ける。ふと外を見ると西の空が妙に明るい。ぴかぴかと下からの照らされて雲が色とりどりに光っている。方角からすると、家から数十キロ離れたところにある遊園地の花火大会だろうか。しばらく目を凝らしていると、ひときわ大きく大輪の花を咲かせる花火があって、やはりそちらの方向で花火大会をやっていることがわかる。遠いので音は聞こえず、ひたすら打ちあがる花火をよその世界の出来事のように眺める。下の方は家の近所の木立に隠れてしまうので、見えるのは上半分ばかりである。たまに高く上がるものや、中心点が高い特大サイズのものは全体の姿を見ることができて、得した気分になる。うちよりもっと上層階の住人達はくっきりと全てが見えるのだろう。それにしてもどれぐらいの人がこの無声の花火に気付いているだろうか、などと考えながら花火を見つめていると妙な感覚が頭を持ち上げてきた。目の前にある黒い木立が地面のように見えてきたのである。そして通常花火というのは空高く上がり降るように開くが、今見ている花火は下から火花が炸裂するように広がる。何かに似ている、何かに似ている、と思い始め、すぐに思い至った。空爆だ。上半分しか見えない花火は、時折テレビで放映される戦火によく似ている。半ば混乱としているうちに火花はどんどんと激しさを増し、やがてぱったりと光らなくなった。時間を見ると8時半。フィナーレだったらしい。次々と繰り出される火花の下で、数千の人々がその美しさに感嘆の声を上げただろう。本当に花火でよかった。いつの時代も火の使われ方は平和なものであってほしい。


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