WELLA
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2003年12月14日(日) ゆく川の流れ。

年賀状を書き始める。例年に比べて画期的に早い。
新・日曜美術館を見る。東京・白金の東京都庭園美術館は、アール・デコ様式を取り入れた昭和初期の傑作である旧朝香宮邸をそのまま利用している。宮邸をアール・デコ様式で建築したのは朝香宮夫妻がパリ滞在中に、博覧会等で本場のアール・デコに刺激されたことによるが、夫妻がパリに滞在したそもそものきっかけは、単身滞仏していた朝香宮が交通事故で重傷を負い、その看病のために宮妃が渡仏したことである。夫妻が滞在していたパリの高級アパートで、宮妃は水彩画を習ったり友人と語らったり、積極的にパリの文化を吸収し、帰国後も建築を学習しつつ熱心に宮邸建設に取り組んだらしい。近世皇族が一番金銭的に恵まれていた時期でもあるが、今より封建的であったその当時、傑作建築の影に女性の力が大きく関わっていたというのは頼もしい。しかし、その後日本は軍事色を増して戦争へと突入し、戦後朝香宮は皇籍離脱するわけだから、宮邸としての寿命は短かった。
テレビが終わってから遅い朝食を済ませ、優先度の高い十数枚を書いて、これだけで午前中を潰す。時間が過ぎるのが早いのか作業が遅々としてすすまないのか、いずれにしても平日に流されている間あれこれもやろうとしていたことが一向に片付かない。ここ数日、滓のように心に深く沈んでいる厄介ごとを取り出して眺めたり、またしまいこんでいるうちに時間が過ぎる。
早めに夕食を済ませてスポーツクラブに行く。私は水中ウォーキングをするのだが、最近シンクロナイズドスイミングの練習をしている女性と一緒になる。歩けるほどの浅いプールで、足を高々と伸ばしたと思うと、水中から上半身が飛び出し、前進したと思うと沈んで反対側から顔を出す、というようなルーティンを1時間ほども繰り返している。どういう素性の人なのだろうか、気になる。
帰り道、なんの脈絡もなくイラク派兵に思いが及ぶ。争いは憎しみだけで何も生み出さないことを、メディアは嫌と言うほど我々に突きつけてくる。米大統領がブッシュではなくアル・ゴアだったら世界はどうなっていただろうか、と思う。アメリカのどこかの州の選挙管理委員会がヘタレだったおかげで、ブッシュが大統領になり、アメリカが、世界が、間違った方向に動き出しているのだとしたら…。


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