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神戸で2階建ての家を消火活動中の消防士が、崩落してきた2階部分の下敷きになって3人も犠牲になった。 時間が経つにつれて当時の現場の状況があきらかになったところによると、通報の前から1階部分が長い時間燃えていたために、1階部分の柱などが炭化して細くなっていたところに、延焼を防ぐための放水で大量の水を吸って重さが増した2階部分が、耐え切れなくなって崩落したらしいということだった。1階に焼死体があり、搬出のために一斉に現場に踏み込んだ直後に崩落したのだと言う。報道は、判断が間違っていたのではないか、マニュアルが不備だったのではないか、ということを言い立てるが、崩れてしまった今となってはもうわからない。 一つはっきりしているのは、今回の事故は木造の2階建てであり、マンションやオフィスビルなどの鉄筋コンクリート製の建物ではなかったということだ。 鉄筋コンクリート建てと木造家屋の消火法というのは、その建材、構造からしておのずと違ってくるのだろうが、最近、都市部で木造家屋は減ってきている。ということは、つまり火事現場としての経験もコンクリート建てに比べると今後減少していく一方なのだろうと思う。木造家屋が燃えると骨組みが炭化して細っていくことや、水を吸って上部が重くなることを、理屈としてはわかっていてもなかなか実感しにくかったのではないだろうか、と私は考えている。 昔は、延焼を防ぐためにはまず家を倒していた。実際に見たことはないが、江戸時代の火消しなど様子を見ると、手に刺す股を持っているし、イギリスに行ったときも百年以上前の古い家には火事の時にフックのついた棒で引き倒せるように軒下に金輪が留めてあるのを見たことがある。 火事の現場付近の家が放水で外の洗濯物はおろか家具なども水浸しになってしまった、という話は聞くが、消防車の機動性と機能性が上がってきた今では、家を引き倒すことなどまず考えられない。ただ、ただ水をかける。 報道によると、神戸は阪神大震災以来初動に力を入れており、今回の火事でも200人近い消防士が現場にいたのだという。一生懸命総出で水を掛けた結果が、今回の惨事につながったのかと思うと切ない。 亡くなった方々のご冥福をお祈りしている。
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