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昔実家の飼い犬だったシェットランドシープドッグ(♀)は帰巣本能に優れていたのか、散歩に出かけても一瞬目を放したり引き綱を手放した隙に一目散に家に帰ってしまうクセがあった。牧羊犬として生まれついた性質なのか、庭にいるときは家の前を通るバイクや自動車に反応して庭先をぐるぐると走り回ったりしていたが、外に出ると電柱にマーキングする他は、寄り道したり拾い食いすることは好まなかったようだ。その意味では彼女に限っては「犬も歩けば棒にあたる」は当てはまらなかった。雷が鳴れば軒下でおびえた声を出し、庭先でやる線香花火には決して近づかず、たまに食あたりになればせっせと草木を食べて、地味に暮らしていた。 ところで最近の私は毎日電車に乗って外出している。出先は曜日によって違うので、まあそれなりに楽しいことや椿事に当たることもなくはないのだが、あくまでそれは受動的であり、能動的かつ積極的に動いているわけではない。よほどの必要がなければ寄り道もしない。ましてついふらふらとデパ地下をさまよい、とか本屋に立ち寄ってついつい遅くなり、ということもない。出先に長居して帰りが遅くなることはあるが、それ以外はひたすらまっすぐ帰ってくる。このあたりがなんとなく実家にいた犬を思い出させる。 多分気持ちに余裕がないのだろう、と自分では思っている。生まれつきの容量が少ないのか、自分の日常生活をこなすのがいっぱいで、外に気持ちが向かない。毎日毎日「また1週間経ってしまった!」と思いながらマウスのように決められたルートをくるくると回っている。くるくると回っているうちに今月末にはまた一つ年をとる。
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