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2001年05月10日(木) 答弁と討論

昼間ふらりと入った蕎麦屋で(←オヤジか、あんたは…)、小泉首相が国会で答弁しているシーンがテレビに映っていた。どうもワイドショーの一部分らしい。実際は昨日の録画なのだろうか、小泉氏が水差しから注いだコップの水をがぶがぶ飲みながら、手振り身振りも激しく、しばしば声をひっくり返しながら精力的に話をしている。議席からのやじも好意的なものも多く、なぜか民主党議員席が沸いている。一方自民党の歴代首相が居並ぶ辺りは、誰もがむっつりとした表情で背中をイスに預けている。田○真紀子氏が笑い転げている映像が入る。

これを見ていてイギリスの議会中継を思い出した。イギリス人は議論好きな国民性といわれるだけあって、テレビの議会中継の時間がやたらと多い。(ほかに面白い番組がないからだろうと思った人、あなたは鋭い。)下院の議場は四角い部屋に政府与党と野党が向かい合って長いすに座る形になっていて、それぞれの党首は文字通り味方を背に舌戦を繰り広げる。トニー・ブレアが首相だからよけいにそうなのかポンポンと話は進み、時にユーモアを交え、時に笑いをとり、これがまたとても楽しげなのだ。ブレアが紅潮した笑顔で発言を終えるとすかさず「ヒアヒア」という同意の掛け声が入る。議会席は指定席ではなくしかも人数分の席がないため、遅れてきた議員は席の後ろの方にはみ出すような形で立っているのだが、これがさらに白熱した雰囲気をかもし出すのだ。たしかチャーチルの提案だったと思う。人数が少ないときはそれぞれ前方に集まってこじんまりと討論をできるし、いかにも合理的なシステムである。

それに対し日本の国会中継というと、まず「あれ?静止画像かな?」と思わせるほどのらりくらりとした慇懃無礼な答弁。時折おこる怒号がかろうじて場にアクセントを添えているかのような死んだ雰囲気だった。これを見るならあとで新聞でまとめて読んだほうがよっぽど時間が有効に使える、と思っていたのだが、それがなんだか「ん?おもしれぇじゃねぇか」とちょっと思われる雰囲気になっていたのでおどろいた。

この調子で国会でのやりとりが単にあらかじめ決められた質問と答弁ではなく、野党各党首の打倒自民党オンリーのヒステリックな糾弾でもなく、対等な形で討論が行われるようになると、国民の政治離れも少しは納まるのないかと淡い期待をいだく。


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