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新年度、新学期、なんとも気分が高揚してくる時期である。 朝から外出。この前買ったばかりのスーツを着ているので余計に気分がいい。日中は汗ばむような陽気。桜の花はほとんど散ってしまったが、その分新緑が芽生え始めていてなんともすがすがしい。 すがすがしいついでに本でも借りてみるかと、途中にある図書館に入って新刊本の棚を眺めていると、森博嗣氏の「工学部水柿助教授の日常」があった。本人をモデルにした私小説のようなエッセイのようなもので、ところどころミステリーのからくりやエッセンスが含まれているようだ。現役の国立大学工学部の助教授である作者が描く「日常」であるから、かなりリアルに違いない。面白そうなので借りることにして、それから初心に返るかと彼の第一作(実は4作目らしい)「すべてがFになる」も手にとってカウンタに向かったところで、貸出カードを忘れてきたことが発覚した。うーむ。「すべてがFになる」は棚に戻したが、そのまま手ぶらで帰るのは悔しいので新作の方を少し読んでいくことにした。春になって日が長くなってくると、太っ腹である。図書館の固い椅子の上で姿勢よく読むこと1時間あまり。文章も軽妙で(というかくどくもあるが)、これは面白い。 だいたい森ミステリーはトリックそのもののアイディアはすばらしいと思うのだが、登場人物の描き方(特に女性)がいかにもステレオタイプ的でいかん、と常々思っていた。この本に出てくる登場人物はもっと現実味を帯びていて、主な女性の登場人物は、2章まで読んだ今のところ主人公の妻と研究室の秘書なのだが、この二人ともいい。夫を「君よばわり」してしまう妻にわが身を重ねてしまったりもする。主人公が新婚時代に助手を勤めていた三重県津市での生活の様子なども、私自身の体験と重なるところがあり、思わず「あるあるあるある」と心の中でつぶやきつづけてしまうのであった。
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