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両親がバスに乗って遊びに来たので、うちでお茶を飲んで少し歓談した後、昼食がてら散歩に。風もなく穏やかな散歩日和である。父は花粉症気味だそうだが、マスクをして機嫌よく歩く。私が住んでいる区は道路が細く曲がりくねっていることで悪名が高い。この辺は区境に近いこともあってさらに行政の目が届かなかったのか、そこら中に五叉路や六叉路があるのを母がいちいち珍しがる。 が、実はその母の育った家はこの区内にある。父と結婚してからも数年その家で過ごした。私が生まれたときはもう引っ越していたが、里帰り出産(その頃もう祖母はなく、母にとっての義姉が面倒をみてくれた)したので、私の出生届はここの区で出されている。そのことに気付いたのはここに引っ越してから住民票を移したときで、なんとなく生まれた川に戻ってきた鮭のような気分になった。 といっても両親が住んでいたのはもっと西北の方で、交通機関で色分けするとこことはまったく土地柄が違う。というわけで彼らにとっては、知っているような知らないような、日常生活から途中下車したような、そんな感じの散歩になったようだ。地名や地理から連想するのか、若い頃の思い出話がそれぞれふっと飛び出したりして、現在と過去とが入り混じった脈絡のない会話になる。 のんびり歩いて近くのお寺へ。お堂から読経が聞こえる。ここは日蓮宗なので鳴り物入りでかなり派手。大きな境内にはソメイヨシノがはらはらと絶え間なく散っていて、お掃除の人がきりもなく溝を掃いたり花びらをかき集めたり。山桜が咲き始めている。裏手の墓地まで行くと大きなケヤキが何本もあり、空いた土地にはラッパ水仙が幾種類も咲いている。都内であることを忘れるほど空は広くのどかだ。 曲がりくねった細い道をジグザグと通り抜けて帰宅。マンションの前の通りが見えてきたとたんに、ンゴゴゴゴーーーー!と車の騒音。うーん、現実。
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