WELLA
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1997年11月26日(水) 頑張ってくださいねぇ

というわけで、歯科通いを始めました。隣の市まで行ってるので、片道30分位かかります。
別にそこまで行かなければ歯医者がないような、無医村に住んでるわけじゃないんですよ。立派な歯科医は近所にもたくさんあります。隣町は待合室が畳敷ってとこもあるらしいですが、この辺りはどこも個人医院は門構えが立派なので、別に

「立派=流行っている=腕がいい」
とは言えないらしいです。つまり見分けが肝心。そこにはさる信用できる筋からの口コミで、通うことになりました。

ところで通う手間ですが、道は簡単だし空いているし、遠いという感じはなかったのですが、考えてみたら遠いですよね。空いてるのに30分かかるんだから(泣)。
往復だと1時間ですな。で、待ち時間やらも入って診療時間およそ1時間。帰りにスーパーに寄ったりして、また1時間。あれやこれやで結局3時間位ってとこでしょうか。
今はブラッシング指導を受けたり、歯型をとったりしているから時間がかかるのかも知れませんけど、診療中はなんとなく全身に力が入っているので、終わると気分がぐったり。

ま、それはともかく。歯科は久しぶりなのでいろいろと物珍しく、お蔭様で楽しく通っております、って誰に言ってるんだか。その歯科は歯科衛生士というんでしょうか、先生の他にピンクの白衣(!)を着たおねーさんがウロウロしていて、いろいろと説明したり、世話をしてくれたりします。

診療中に、先生が「はーい、お口、あーん」というと横にいるおねーさんも 「お口、あ〜ん、ですよぉ」などと、甘くささやいてくれます。
あらま。これって若い男の子だったら、結構うれしいかも…っていうより、困っちゃうかもな〜などど思いながら、言われるままにアガアガしているわけです。まさに俎上の鯉。
先生がドリル(っていうの?)を片手に「はい、ちょっとひびきますよ」というと、 「すみませ〜ん、ちょっとひびきますよぉ、我慢して下さいねぇ」と、いかにもすまなさそうなこだまが返ってきます。つまりは先生の指示を復唱しているのですが、そこにピンク声が加味されるわけですね。愛だわぁ、愛。

アガガガガ…ぎゅいぃ〜ん、ぎゅぃ〜ん、 ぎゅいんぎゅぃん

ううむ。無心。無心。
私はなぜか、こういう場合に妙に可笑しくなってしまうという困ったクセがあるので、笑いを押さえるために無心を自分に言い聞かせていると、唐突に 「頑張って下さいねぇ」と、祈るような声。
へ?頑張ってください?これからもっと頑張らなきゃならないような事態に発展するわけ…?。うううぅ。力が入るぜ。

アガガガガ…ぎゅいぃ〜ん、ぎゅぃ〜ん、ぎゅいんぎゅぃん

観念して力を入れていると、再び祈りの 「頑張って下さいねぇ」。え?また?いやぁん。もっとなのぉ?
ううむ。無心。無心……

…「はい、終わり」 「終わりましたよぉ〜、おつかれさまでしたぁ。楽にしてくださいねぇ〜」

へ?終わり?もういいの?はぁ〜、なんだ大したことないじゃん。まる子、きんちょーして損しちゃったぉ。
ま、確かに今時の歯科の治療で「痛くないですよぉ」などと、患者をだまくらかして無理矢理削ったりするわけもなく、他に言うこともないんでしょう。

はじめは奇異に聞こえたものの、この時折唐突に入る「頑張ってくださいねぇ〜」 無しでは、もはや私の歯科通いは成り立たないといっても、過言ではありますまい。病み付き。


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