WELLA
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1997年11月19日(水) 冬がくる

紅葉はここ数日ですっかり落ちてしまったようだ。
燃えるような紅葉や黄金色に輝く銀杏の葉が一面散り敷いたようになっていたのが、数日来の雨ですっかりほとびている。まさに濡れ落葉。
この辺りでも、兼六園のような雪吊をした木を見かけるようになった。雪が降り出す前に、やっておかなければならないことが沢山ある。
タイヤの交換、粗大ゴミの処理、大物のクリーニング、歯科通い… 雪に覆われてしまう前に、土の上を存分に歩いておこう。
少し早いけど、点検がてらタイヤ交換の予約をした。
この間駐車中に傷つけられたドアも、ついでに塗装してくれるという。ありがたい。雨や雪が降り始めるとそこから水が入り込んで、実に情けないらしい。
タイヤの交換は死活問題。雪が降ったらどこへも行けない。交換したところで、雪が降ってしまえば機動力はガクンと落ちるのだけれど…。
そういえば最近家の前の道で荷物を満載した軽トラをよく見かける。引越しかな、と思ってたけどゴミ処理場に行くんだな。この間は朝からゴミ処理場の入口で開門を待つ人達が車を停めてたし。雪が降ってから粗大ゴミを出しに行くのは正気の沙汰じゃない。

同じ理由で、いい加減ほったらかしてある歯もなんとかしなければ。どこが痛いというのではないけれど、悪くなっていないわけがない。これも雪に閉じ込められてからでは難儀なことだ。
意を決して予約をする。東京でかかっていた歯科の先生に「友達で腕がいいから」と教えてもらった歯科で、隣の市で開業しているという。

タイヤ交換の日は朝から雨だった。翌日歯医者に行こうとしたら、激しいあられが降ってきた。車を停めて道を渡ろうとしたら、通りを走っていた車が突然スリップして、歩道にいる私の方へ向かってきた。縁石に乗り上げて止まる。タイヤを交換しておいてよかったと思う反面、なんとなくイヤな気持ちになる。あられはさらに激しさを増し、暗澹たる気分を演出してくれる。ふぅ。
歯科は期待通り手際のよいスタッフで安心する一方、検診の結果が思ったより悪くて落ち込む。

結局その日はずっと氷雨が降り続いていた。
ハンドルを握りながら、思わず「♪呑ませて、ください、も、お、すこしぃ〜」とうなって、同乗者にたしなめられる。帰りがけに近所の家に寄って世間話。
「こうやってあられやひょうが降ると、大根とか葱とか、冬の野菜がうーんと美味しくなるのよ」だ、そうだ。なるほどねぇ。


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