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次号はバーベキューといいつつ、朝顔の件火急にお伝えしたき儀ありて、ここに筆をとり上げ候。 というわけで、過日お楽しみ土袋 に潜み、いきなりベゴニアの鉢を乗っ取らんとした朝顔であるが、結局のところ、その後は伸び悩んでいるようであった。かろうじて本葉が3〜4枚出ているものの、ベゴニアに絡み付くわけでもなく、所在なげにつるの先をふらふらさせている。 なんといっても不法占拠であり、このまま見逃すわけにはいかない。かといって、どうやらつぼみも育ちつつあり、間引いてしまうのも不憐であるので、空いた鉢に植え替えることにした。 一回り大きな鉢にたっぷり土を入れ、中央に植えてやる。思いのほか根が長く伸びている。鉢の大きさにやや負けている感もあるが、まんざらでもない様子である。陽があたるようにベランダに出しておいた。 早速、植え替え効果が出たらしい。様子を見に行くとつるが伸びている。支柱を立ててやらねば。あたりを物色して、トマトの鉢に差してある支柱を無断で借用する。長過ぎる気もするが、他にないので仕方がない。ところでつる本体は、今まで勝手きままに育ってきたので、支柱を立てたからといって、そう簡単に巻きつくものではない。2箇所を簡単にピンクのリボンでとめてやる。 翌朝になると、早くもつるが支柱に巻きついていた。なんと初い奴であるか。ひしっと支柱にしがみつくその姿はいじらしく、支柱が男であれば、まさに男冥利に尽きるといえよう。 「つるは、つるは、もう離れませぬぞえ」 といった二回巻きである。 一途な乙女心にほだされつつ、ふと気がつくと、つるはさらに四回五回と巻きつく回数を増やしていた。しかも一巻きごとに着実に距離を伸ばしている。それにともない葉の数は倍増し、大きさ、色艶とも見事なものである。仮止めのピンクのリボンなど、遥か下方で無用の長物と化している。 「あれぇ巻きつかない、ちょっと押えてくださいまし」 などといった当初の可憐さは瞬く間になりを潜め、とどまるところを知らぬ躍進ぶりである。 「朝顔め、たばかりおったな」 一瞬でも可憐である、不憫である、と思った己が恥ずかしい。もともとは不法侵入者ではなかったか。もはや支柱の長さに達するのは時間の問題となった。支柱を長くすれば、その分図に乗ってつるを伸ばしていくのだろう。どうせそんな奴なのだ。もう何もいうまい。 一言いわせて貰うなら、つるを伸ばすのも良い加減にして、早く花を咲かせておくれ。 時期はずれである。
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