いつもの日記

2001年11月05日(月) フリオ・イグレシアス

今、村上春樹の「夜のくもざる」という超短編が36本つまっている本を再び読んでいる。
超短編でだいたい1話が4ページである。

その中で僕の一番のお気に入りの話は、「フリオ・イグレシアス」である。
海亀に私と彼女が襲撃されるという話だが、村上春樹のシュールな表現がなんとも言えない。

私という主人公が考える内容が、現実と非現実(海亀が襲撃する)と両方にあり、
そのバランスがとても子気味良い。

このことは彼の小説の全てに言えることだが、主人公がとても現実的で、
そこに非現実な話の内容が絶妙にマッチしていく感覚がとても惹きつけられる。

そして、描写が非常に巧く、表現がとても解りやすい。
みればみるほど隙は無く、本当に感心する。

「フリオ・イグレシアス」は「トランプ」という話が続編であるのだが、これも本当に面白い。

私は本を読むのは嫌いで、もともとそういう性質だが、
幸いなことに村上春樹の本にはこの性質は少しも邪魔しないようだ。


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