「ブギって何?」誰かが言ったそんな言葉の赴くまま、僕はインターネットでブギを調べた。
-------------------------------------------------------------- ブギウギ: ブルースから派生したジャズ音楽の一形式。 1920年代後半にシカゴの黒人ピアニストの手により黒人の間に流行した。ブギ。 -------------------------------------------------------------- ブギウギは「リズム浮き浮き心づきづきわくわく」という言葉で表現し得ていると思う。 聴く者がなんとなく「ウキウキ ワクワク」するリズム、それがブギウギだ。 --------------------------------------------------------------
その時代には、ブギはTBSの社内用語になるほど成長していた。 この流れのおおもとは、あるディレクターの気軽な一言から始まった。
「アレコレ言う前にとりあえず、"ブギ"をつければいいんだよ!」
それから、ママハハブギ、予備校ブギ、ADブギ、が誕生した。
ブギがみんなの心を掴む速度は本当に速かった。 ディレクターは自分の双子の子供に「ブギ」と「ウギ」という名前をつけた。 会議などでは他人の意見に賛成する時は「ブギ、ブギ」といいながら頷いた。 仕事の後は、みんながみんな「とりあえず、ブギろうぜ!」と言って、呑みに行った。
それから、ブギは急速にカテゴリーを問わず広がっていった。 社員食堂ではブギ定食が販売されて一番人気になった。 ADブギの加勢大周までが「ブギ、ブギ」言い出して、仕事にならずに事務所が困った。 TBS社内での通貨はブギとなり、コーヒーは一杯200ブギだった。 収録は「3,2,1,ブギ!」で始まり、「おつかれブギ」で終わった。
だが、この流れも長くは続かなかった。 結局は、ブギは単なるブギであって、日本や世界を変える事は出来なかった。 フジTVは、「ブギはフジに対する当てつけだ」と批判した。 美空ひばりフリークはデモを起こし、「東京ブギウギ」を歌って、TBSまで踊って歌った。 ブギを商業道具として気安く使用するTBSに、いてもたってもいられなくなったのだろう。
このような流れに押されるごとく、ブギはいつもの地位へと戻っていった。 僕達は、そんなブギの時代を、バブルの時代と同じようにとらえるようになっていった。
そんなバブルのようなブギ時代が過ぎたあと、ブギをここまでに至らしめたディレクターは、
「アレコレ言う前にとりあえず、名前の後ろに"。"をつければいいんだよ!」
と、つんくに言っていた。
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