2001年09月25日(火) |
そうめん会議の後日 vol.7 エピローグ |
それから数日ほどで私の昇進が決まった。 むろん決め手はマチャアキ秘伝のつゆだろう。
その祝いの酒の席で、会長のフクイは両手を前に広げて私に教え諭すように言った。 「あの影は人間1人1人が持っている心の闇の部分だ。どうすることもできない。」 「はぁ、そうかもしれませんね」 と私は小さく頷き普通に答えた。
「私達いち個人が到底適うものではないし、挑んでもイケナイ事柄だ。解るかね。」 「はい、なんとなく。会長のおっしゃる通り、確かにあれはそういうたぐいのものですよね。」 と私は心持ちプラスに自然に同意した。
実のところあの時私は見ていたのだ。
あの影がそうめん1束をさらっていく時に見せたの左肘の傷跡を。 それはたぶん全治3ヶ月ほどであったが、最近ようやく直ったであろう傷跡を。
その傷はもちろんナガサワのものだった。 私はもちろん知っていた。 しかし言わなくていいことは、もちろん言わなくていいのだ。 訓練中だし、もちろん昇進も決まったことだし。
---- そうめん会議の後日 終わり
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