子供の時ほど僕がゲーマーであった時はない。
本当に僕はゲームが好きで3度の飯が抜きでもずっとゲームができれば納得できたものだ。
僕達が子供の時にはゲームと言えばファミコンであった。 彼は時代にとって東京タワーであったかもしれないが、僕にとってはマリアナ海溝だった。
それほど僕は彼の魅力の溝にどっぷりはまってしまった。 彼の作り出すワールドに僕は心底感服し、そして僕はのめり込んだ。
しかしながら過ぎたるは及ばざるが如し。僕は彼であるファミコンに中毒なってしまった。 一日中、朝から晩まで繰り返させるスタートボタンに、夢をつぎ込んで命を燃やした。
こんな様子をうちの「おとう」は 「ファミコン中毒」略して「ファミ中」といって、全力で更正に掛かった。
彼のする行為は残虐非道であった。
彼は僕達が決められた時間より長くゲームをしているところを見つけると、 画面が進行中でありながらも寸分も迷うことなく、 抜き出しボタンを押さずにファミコンカセットを直接抜いた。
ロールプレイングゲームを途中で抜かれた時の静止した画面は、 縦や横に色々な線が何本も入りぐちゃぐちゃになった僕の頭の中を静かに映し出していた。
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