昨日・今日・明日
壱カ月|昨日|明日
雨が降っている。さっき買い物に出た時、近所の公園を通ったら、桜の花が風に飛ばされ砂の上や水たまりに落ちて散らばっていた。何枚か、スニーカーで踏みつぶした。 咲きほこっているものよりも、地面にはりついて汚れた桜のほうが、綺麗だと思うことがある。
日記も書かずに、わたしはここ数日何をしていたのか。 ここ数日のこと。
4月になってから転職をした。前の会社に何の不満があったわけではないが(先方はあったかもしれないが)、「いろいろ」あってそうすることにした。「いろいろ」の内訳は、長くなるし特におもしろくもないので、書かない。
Nさんと別れるのは、けっこうさみしかった。最後の勤務の日、ふたりでフグを食べにいった。ひとりで何でも抱えこまないようにしろ、と言われた。お互いに、しんみりしたことは口にせず、バカ話ばかりした。 仕事の合間に、獅子文六と吉田喜重と民主党とセックスとパレスチナとタイガースと税金と冬瓜と成瀬巳喜男の話で盛り上がることのできる人とは、この先どこのどんな大きい会社に行ったとしても、巡り会えないだろう。偶然は偉大で、出会いは奇蹟だ。
忙しかったけれど、本はコツコツ読んでいた。クローデルの『灰色の魂』がとてもよかった。 『人生はじつにおもしろい。 なぜこの世に生まれ、なぜそこに留まっているのか、ついにわからない。 この私はここにいる。生きてはこなかった。生き延びてきただけだ。』 『ひとりでいることは、いかなる場合であれ、人間の条件です。』
今は図書館で借りた『ジェイン・オースティンの読書会』を読んでいる。 最近観た映画は、『ラストデイズ』。『エレファント』の姉妹編、という感じだった。ルイ・マルの『鬼火』を思い出した。 復刻した、中平卓馬の『アデュウ・ア・エックス』を買った。ハードカバーになってて少々がっかり。前のソフトカバーの手触りが好きだったのに。復刻するのに余計な工夫をしなくてもよい、と言いたい。 最近はカサンドラ・ウィルソンの新譜と、『ソン・リブリ・マスターズ』シリーズから、アルセウ・ヴァレンサの『モリャード・ヂ・スオール』をよく聴いている。 料理は毎日やっている。ただ、今度の会社は弁当を持っていけないことが、目の前が真っ暗になるほど悲しい。弁当持参できるかできないかで、転職先を決めればよかった。毎日、たいしておいしくもない社員食堂の定食を食べている。
今までのように、毎日日記をつけるのは難しくなった。でも、やめるつもりはない。やめようかと考えたこともあったけど、これを書くことで得た限りないもののことを思うと、やっぱりやめることはできなかった。 週に一度くらい、思い出したみたいに書くので、また時々、のぞいてみてください。
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