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壱カ月昨日明日


2003年10月19日(日) 野菜スープ

 なぜか朝4時に目が覚める。まだ日も登らぬうちから起き出し、人参、ジャガイモ、玉ねぎ、キャベツ、レタス、ソーセージなど冷蔵庫のあまりものをかき出して野菜スープを作る。コトコト煮ながら日記を書いて、織田作之助「六白金星」「アド・バルーン」「世相」を読んだ。スープが出来上がった頃に猛烈に眠くなり、11時半まで寝た。
 起きたらとてもお腹が空いていて、寝ぼけていたのか、スープをつくったことをすっかり忘れて、近所に中華料理を食べに行ってしまった。バカだ。

 午後、夕方近くになってからおでかけ。映画を2本観る。
 ひとつめはトリュフォーの「柔らかい肌」。この映画を観るのは2回目。前はラストの展開にただただ唖然とするばかりだったので、今回は細部をしっかり観ようと心がけた。
 妻子ある文芸評論家が美しいスチュワーデスにトチ狂って離婚まで決意した途端、女にスルッと逃げられる。仕方なく妻との関係の修復に努めようとするが、時既に遅かった、という話。
 ゆっくり行かねばならない時に急ぎすぎ、早く解決しておかねばならない時に悠長に構えて、主人公は「絶好のタイミング」をいつも逃す。堅実に歩んできたであろう今までの人生を、たった一度の出会いで踏み外し、自分の感情さえコントロールできなくなって、頭を抱えた時にはもうとりかえしがつかないところまで来てしまっている。これは映画の中だけでなく誰にでも起こりうることで、女のことで東奔西走する滑稽な男の姿を、きっと誰も笑えない。

 ふたつめはレイトショウでキアロスタミの「10話」。公開を楽しみに待っていた映画。
 説明なし、音楽なし、感傷的な表現もなし、車の中でただ会話しているだけの映画。映像はおそろしく単調だけど、全然飽きない。最後は泣いた。結局人間をしっかり見せとけば、それだけで十分面白くて、他は何にもいらなんじゃないかと思ってしまう。
 こういう映画こそ多くの人に観てほしいと思うんだけど、観客は少なくて、映画研究会の部室のような雰囲気だった。

 帰ってから、今度は忘れずに、野菜スープを食べた。

・購入物:「10話」のパンフレット

・朝食:珈琲
 昼食:外食(酢豚、シュウマイ、サラダ、ご飯)
 夕食:穴子キュウリ巻き、野菜スープ


フクダ |MAIL

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