ぽあろの音楽旅日記
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2001年03月22日(木) 第53回 チャイコフスキー 大序曲「1812年」

 盤によって、この言い方は違うのですが、僕はこの「大序曲」という表記にまず魅せられました。序曲が大きくてどうするんだろう、と少年心に思ったものです(笑)。しかし実際に聴いてみて、また曲の背景を知ることで、なるほどこれは「大序曲」なのだ、と納得しました。1812年、というのはチャイコフスキーの祖国、ロシアにとっては、あのナポレオン軍を散々に打ち破った記念すべき年なのです。この敗戦をきっかけにナポレオンは没落の道をたどります。
 曲の中に、二つの国歌が象徴的に現れます。そう、フランス国歌とロシア(帝政時代)国歌です。ロシア国歌で厳粛に曲は始まり、そこへフランス国歌が割り込んできます。しかし戦いの末、大砲の轟音とともにフランス国歌はちりぢりに砕けさり、ロシア国歌が鐘の音とともに高らかに歌われ、エンディングを迎えます。フランス人が聞いたら怒りそうな話ですね(笑)。実際、この曲は長い間フランスでは演奏されなかったそうです。チャイコフスキーの曲としてはかなり通俗的なもので、作曲者自身もあまり好んでなかったようですが、この作曲家の器用な面を見る思いです。

☆カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 冒頭のロシア国歌に合唱を起用、大砲の音も鐘の音も演奏にぴったりマッチしています。こういう見せ場のある曲は、この人の独壇場かもしれませんね。軽々しくなることなく、堂々たる演奏です。
☆デュトワ指揮 モントリオール交響楽団
 フランス語圏のオケなんですが(笑)、すねることなくちゃんと演奏しています(笑)。大砲の音に期待していたんですが。。。ほとんどのこの曲の演奏では大砲の音はシンセなどでの合成が使われているようです(当たり前ですが)。デュトワはシンセを使うついでに、曲の後半にシンセ音を多用してくれています。僕からすればブチコワシなんですが。


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