ぽあろの音楽旅日記
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2001年03月13日(火) 第48回 R・シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」

 音楽の中には「英雄」を扱った作品がけっこうあります。有名どころではベートーベンの「英雄交響曲」がそうですし、英雄伝説のオペラを加えると、それこそ星の数ほどの英雄が音によって彩られ輝いています。その中でも、この作品は二つの点で異色の出来なのです。
 一つには、この「英雄」が作曲者自身を指しているらしいということ。音楽に限らず、文学でも美術でも、作者は自らが描く「英雄」に惚れ込んで感情を掘り込んでいくのだと思うのですが、R・シュトラウスは自らをその「英雄」にし、自己に惚れ込んでいきます。そしてもう一つ、その「英雄」が非常に人間味があってしかも完璧なヒーローである、ということ。音楽的には聴いていてとってもわかりやすいんですね。テーマの提示が見事なんです。
 曲としての聴きどころは、全体を貫く「堂々さ」と、妻の愛を示すバイオリンの美しさです。これだけの曲を残しているのですから、確かに彼は「英雄」なのでしょう。

☆カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 指揮者界の「英雄」、カラヤンです。晩年の君臨ぶりから「皇帝」呼ばわりされることが多いですが、やはり20世紀後半の音楽シーンを切り開いた「英雄」こそがふさわしいでしょう。で、この演奏。「英雄は英雄を知る」ということですね。堂々たる名演です。


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