ぽあろの音楽旅日記
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2001年03月01日(木) 第38回 山口百恵に捧げられた歌

 1970年代を代表する歌手、というくくりでは申し訳ないくらいのスター、山口百恵の歌について。僕はいわゆる「百恵世代」より少し後の世代です。幼稚園や小学校の頃に、歌詞の意味もわからず好きでした。今振り返ってみて、彼女の凄さってなんだろう、と考えたんです。
 僕の結論は「粋」です。スターと呼ばれる歌手はたくさんいますが、この「粋」を持っている人は、僕から見る限り、美空ひばり、石原裕次郎、そしてこの山口百恵の三人だけです。時代の求める歌い手はたくさんいます。でもこの三人は時代の要請の一歩先を、さりげなく(これが大切)歩いていたように思えます。そういうのを江戸っ子は「粋だねえ」と誉めるのです。
 「平成の山口百恵」といわれた安室奈美恵に、この「粋」が加わるかどうか。それは彼女がどれだけの幅の歌を歌えるかにもかかっているのではないでしょうか。晩年の美空ひばりに小椋佳や秋元康が風を送り、絶頂期の山口百恵にさだまさしや谷村新司が新たな可能性を提示したように。

☆「秋桜(コスモス)」 詞・曲 さだまさし
 名曲の多いさだまさしですが、歴史に残るとするならばこの曲が第一になるでしょう。どんなに素晴らしい詞も曲も、そこに命を吹き込む歌い手の存在が求められます。無論、さだまさし自身も素晴らしい歌い手であるのは確かですが、真の名曲は他者によって命を吹き込まれるべきだと思います。その点で、山口百恵とこの曲の関係は理想的。歌手も歌も、まばゆく輝いたのですから。
☆「いい日旅立ち」 詞・曲 谷村新司
 正直言って、谷村新司が歌うほうが個人的には好きです。山口百恵がまだ若すぎたのかもしれません。でも、彼女の歌唱によってこそ、この曲は歴史に残ります。「ああ日本のどこかに私を待ってる人がいる」と百恵が歌うからこそ「僕がここで待っている!」と幼年時代の僕も叫べたのです(笑)。


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