ぽあろの音楽旅日記
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2001年02月28日(水) |
第37回 ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 |
大オーケストラがドカンドカンドカン、を好む僕としては(笑)、こういう曲は願ったりかなったり、となりそうなところです。でもそうはならないのが音楽の深いところですね。確かに、迫力的にはドカンドカンドカンです(笑)。僕にとってのこの曲の原風景は、終楽章をある男子高校の吹奏楽部が演奏しているのを聴いたところにさかのぼってしまいます。まさに力任せのドカンドカンドカンでした。かっこいいなあ、と思ってしまう僕も僕なんですが(笑)。 しかし、オケ版を入手して改めて聞いてみると何か違うんです。一言で言えば「難しい」。大体テーマの決まった音楽ばっかり好んで聴いていますから、こういう曲の示すものを僕が見つけられないだけなんでしょうね。通して聴いている中で、得体の知れない「謎」に襲われていく感じです。終楽章まで聴き進めて、その謎は解消されます。といっても答えが見つかったわけでもなく、また何の謎だったかすらわからないまま、ただただ納得してしまう。ショスタコの音楽が「国家主義的」と批判されることがありますが、確かにそういう「有無を言わせぬ説得力」を転用すればなんだってできちゃいそうです。 時折、無性に聴きたくなるんです。今度はわかるかもしれない、という期待もあって。そういう意味では、ショスタコの魔法なんでしょうね。
☆ムラヴィンスキー指揮 レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団 ショスタコの第一人者、ですよね。この演奏ではじめて僕はこの曲の「謎」にぶち当たり、妙な納得を繰り返すようになります。おそらく晩年の演奏、名盤とされるのはもっと前の演奏だと思います。オケも決して完璧ではないですが、思い入れのある曲なのでしょうか、テンション高いです。 ☆ハイティンク指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 困ったときにはハイティンク、これが僕の信条です(笑)。ハイティンクは「毒」のある作品の「毒」をじっくり中和させていくタイプの指揮者さんですね。この曲ですら、変な消化不良感や謎を残すことなく、いい意味での「ドカンドカンドカン」にしてくれています。ただ、ショスタコファンには物足りないんだろうな。
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