ぽあろの音楽旅日記
目次へ|前へ|次へ
2001年02月27日(火) |
第36回 ピアソラ 「アディオス・ノニーノ」 |
タンゴ界の巨人、アストル・ピアソラの代表作です。ピアソラがタンゴの世界にとどまらず、いわゆる「クラシック界」でも高い評価を受けているのは、どちらかと言うと「作曲者」としての側面でしょう。いい作曲家の条件として、その作品が幅広い層に演奏される、ということがあげられると思います。自作自演が一番評価が高いうちはスタンダードではない、といってもいいでしょう。 その点で、ピアソラはその志を継ぐ後続音楽家に恵まれています。チェロのヨーヨー・マやバイオリンのギドン・クレーメルといったクラシック畑の人もその輪に加わっています。彼らの演奏活動によって、今後ますますピアソラの評価が高まっていくのは間違いないでしょう。 「アディオス・ノニーノ」は父の死を悼み、別れの曲として作曲したそうです。深い悲しみ、胸をかきむしるような辛さ、そして諦観。人が生きていく上で一番悲しい出来事が「肉親の死」である以上、この曲を聴いて心動かない人はいないはずです。
☆ピアソラ五重奏団 ピアソラは言うまでもなく、優れたバンドネオン奏者でもありました。ピアソラの曲が世に出る前、レコード会社は彼にタンゴ・スタンダードを録音させ、売り出したそうです(結果は自作曲のほうが大ヒット)。演奏家として認められてた証拠ですね。技術派というより情熱派、聴くものを突き動かす名演奏です。 ☆小松亮太(バンドネオン) 他 日本を代表する若手バンドネオン奏者、小松亮太が、ピアソラと共演してきたメンバーと組んでの録音です。ピアソラと縁の深いメンバー中心とはいえ、要のバンドネオンが変わると演奏の雰囲気が一変します。いわゆるクラシックより、タンゴなどの音楽は演奏の自由度が高いからでしょう。深いテーマに深入りしすぎず、抑揚のきいた演奏です。どちらが良いかは好みの問題かな。
|