ぽあろの音楽旅日記
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2001年02月23日(金) |
第32回 ラヴェル バレエ「ダフニスとクロエ」 |
音楽を聴く愉しみに、「現実とはなれた世界に浸ることができる」ということがあるような気がします。もちろん、現実世界に根ざした音楽、歌もたくさんあり、それらには「共感」という愉しみがあるのですが、幻想・神秘といったものに最も近づける、ということも音楽の重要な愉しみだと思います。 で、この曲。ストーリーはあまり覚えてないんですが、イメージは古代エーゲ海、あるいは地中海。「音の魔術師」ラヴェルが、幻想と神秘の世界にいざなってくれます。バレエとしての全曲版と、作曲者自身がチョイスした2つの組曲があります。「第二組曲」に収められている「夜明け」〜「無言劇」〜「全員の踊り」が特に有名です。圧巻は「夜明け」でしょう。神秘的な海の夜明け、水面にきらめき始める光のひとつひとつをもらすことなく取り込んだ、そんなイメージの中へ吸い込まれていくのはとても心地よいです。
☆ミュンシュ指揮 パリ管弦楽団(第二組曲) カップリングの「ボレロ」目当てでした(笑)。でも気がつくと、こっちばかり聴いていた記憶があります。メリハリのある、正調「ダフニスとクロエ」ですね。極端に感傷的になることなく、淡々と進められる「無言劇」の部分が好きです。 ☆デュトワ指揮 モントリオール交響楽団(全曲版) デュトワ盤としては、第二組曲も持っています。もちろん「ボレロ」目当てでした(笑)。でも演奏は全曲版のほうが圧倒的にいいです。「夜明け」には神がかり的な美しさを感じますし、全体を通してフルートのソロが素晴らしい。透き通っているんです。「全員の踊り」は合唱も含め、ぎりぎりのところまで「いっちゃって」ます。
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