ぽあろの音楽旅日記
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2001年02月19日(月) |
第28回 レスピーギ 交響詩「ローマの祭」 |
レスピーギのローマ三部作のひとつです。ローマ帝国時代から今に至るまで、ローマを彩る4つの祭をモチーフに、楽章ごとに表情の違うローマを見せています。 今回は第4楽章「主顕祭」に絞っての聴き比べをしてみました。猥雑ささえ伴うこの楽章を、どのように描いているか・・・。
☆トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 ☆デュトワ指揮 モントリオール交響楽団 ☆オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 ☆ガッティ指揮 ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団 ☆マゼール指揮 ピッツバーグ交響楽団
この曲が、歴史の縦糸を持っている以上、第4楽章だけ聴くのはナンセンスかもしれません。第1〜3楽章の描き方との対比の上に成り立つからです。また、第3楽章と第4楽章は「つながって」います。ま、それは今回は置いといて。5つの演奏となると、全曲聴くのも大変なので。
ポイントを絞りました。まずはその「出だし」。第3楽章が静かに静かに「去って」いく上に木管の「けたたましい」(と言うほうがいいでしょう)音をいかに乗っけていくか。畳み掛けるようにトランペット、ホルンと重なっていく、そこの描き方。 トスカニーニ盤がテンポは一番速いです。聴かせようというより、「さあ祭だ付いてこいっ」って感じのテンポ。対してデュトワ盤、ガッティ盤は地に足の着いている印象、オーマンディ盤はきらびやかな中に落ち着きさえ持っている感じです。 この部分での「一押し」はマゼール盤。一緒に聴き比べしてもらった妻(クラシックには疎い)が「一番嫌」といっただけのことはあります(笑)。そう、ぶっこわれてるんです。いい意味で。全曲とおして管楽器が全面に出ている印象のマゼール盤ですが、この部分では突出しています。祭の「俗っぽさ」が最大限出ている印象です。
次のポイントはフィナーレの部分、最後のファンファーレ(?)へのテンポの持続(あるいは弛緩)に関してです。管を押すか、打楽器を際立たせるか、ここもかなり解釈に差が見られる部分です。 かつて僕のナンバー1だったデュトワ盤は、極端に走ることなく、全パートが完璧に近い「いい音」を鳴らしていて心地よい感じ、今となっては物足りない感もあります。ガッティ盤は打楽器を強めに、テンポよくまとめた印象。オーマンディ盤はここでもキラキラしていて、でも無理がない。マゼール盤は、意外とぶっ壊れてなく(笑)、しっかり聴かせる感じです。 そしてトスカニーニ盤。第4楽章の出だしから、この最後の部分まで、見事に走りぬけた(笑)イメージです。テンポが落ちない。最後はもう、揃ってすらいない(笑)。フルトヴェングラーの「伝説の第九」と同じです(笑)。祭で言うなら「よっしゃ、二次会行くぞ、朝まで飲むぞ」でしょうか(笑)。終わりを提示しない終わり方、それが似合う曲ですから、これが一番かな。
トータルすると、初めて聞く人にはオーマンディ盤、あるいはデュトワ盤。この曲を知ってる人にお薦めはガッティ盤です。極めたければ(笑)、トスカニーニ盤。僕はしばらくマゼール盤を聴くことにします(笑)
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