お見合い,新座泊


 仕事と明日の状況が不明で確定していなかったが「お見合い決行ですか?」と母に問合せ。
17時半になって電話が来て「あんまり先になるのも良くないから、今日にしましょう」とのこと。

紹介者Hさん案:先方がよく行く飲み屋のパーティーがある。そこへ私と母が偶然っぽく行く。

「偶然」なんて全く不自然だし、みんなが知り合いの飲み屋のパーティーに私が初めて行くのはどうなんだ?
母案:まずは寿司屋で会食、その後二人でどこかへ。

なぜ寿司屋が却下されたのかわからないが、東久留米のきれいな店に、パーティーを抜け出して先方が来る。
という段取りになる。

20時に東久留米駅。私の人生初のお見合い会場は駅前のスナックだった。
「きれいな店でしょ」と母。汚かないが…。食べ物もある、と聞いていた。
「何がありますか?」と聞くと「焼きそばとか」「焼きそばと?」「焼きそばですね」
見合いに焼きそば…。青海苔が歯についたりしていいのか?空腹なので食べる。
「美味しいでしょ?」と母。
「普通」

紹介者である塗装工Hさんが来る。
お見合い相手のフリーライターSさんを「とにかくハートのいい男なんだ」。

そして大工のなんとかさんと一緒にSさん登場。
ポロシャツに短パン姿。「スミマセン、こんな格好で」。別にいいけど。

48歳には見えない。
若い頃は成田空港の反対闘争に燃えたそうで、かなり目立っていたとか。だから成田空港は絶対使わないという。
もの書きの仕事の話、ヤンキース松井の話、映画の話、過去の女性の話。

前にSさんに会っている母は「タバコは吸わなかったと思うわ」と言っていたが、原稿を書くときは1日3、4箱吸うらしい。

「僕なんか興味ないでしょ。あなたみたいな人が僕に関心あるなんて、おかしいですよ」と何度も言うSさん。
なんだかよく分からなくなってきた。このお見合いは私がSさんに強く会いたがったためにセッティングされたものなのか?

私はカラオケは嫌いだ、と言っているのに何故東久留米のオヤジたちが演歌をがなり立てるスナックでお見合いなんだ?
「二人でどこか他の店に行く?」と母に聞かれたが、もう面倒なので「ここでいいです」。
Hさんの入れてくれたヘネシーをガンガン飲む。

Hさんとチークダンスを踊る母。
私と父親の話になって「この子は冷たい。潤いがない」とSさんに訴え、泣く母。なんなの、この絵は。

 泊まるつもりはなかったのだが、明日の和服限定宴会用の浴衣を借りるため、2時過ぎ、新座の実家へ帰る。
先月泊まった時に2階のベッドでダニに刺された。今日は母と布団を並べて寝ることにする。

私が布団に入った後、母は別の部屋でずっと泣いていた。
酔って泣き上戸になっているのか、何が悲しいのか知らないが、私は声をかけない。

私が冷たい人間だと言うなら、何故冷たくされるのか原因を考えればいい。
今母が私を恨んで泣くように、私も幼い頃、思春期の頃、母を恨んで散々泣いた。
母のすすり泣きを聞きながら、いつの間にか眠る。
2005年07月16日(土)

抱茎亭日乗 / エムサク

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