K氏邸,『おちゃのこ菜々』,『ダイニングバー オリーブ』

 アーティストささきもと子さんと、バッグ職人Kさんの自宅兼工場を訪ねる。
金町駅での待ち合わせに10分遅刻。スミマセン。

もと子さんとは話していたことだが、今回私の個人使用のバッグを作るだけではなく、商品化を考えているとKさんに初めて話す。

Kさんは非常に興味を持ってくれて、もと子さんの作品に「こんなのバッグにしたらいいねえ。作ってみたい」と職人魂を刺激された様子。
ものづくりをする人同士、すぐに具体的な作り方の話になる。
お茶を頂きながら、Kさんにバッグ業界の状況なども伺う。

Kさんは母の古くからの友人で、かつて一世を風靡した国内ブランドの商品も作っていた。
今も各大手デパートでKさんのバッグは販売されている。
そのKさんと、もと子さんとのコラボレーション。これは期待大。
素敵なバッグを持って営業に回る自分の姿が目に浮かぶぜ。

 17時に東久留米の和風ダイニング『おちゃのこ菜々』で母と、母の弟たち3名と待ち合わせ。
17時過ぎに着いたらT叔父が先に来ていて、飲まずに待つ。
20分経っても母と他の叔父たちは現れず。

先に2人で2杯飲んで、1時間過ぎてやっと現れた母たち。
何をやっていたのか知らないが、母は「ゴメンナサイ。時間制で追い出される?大丈夫よ、店長知ってんだから、ちょっと、店長呼んで」。
店長は代わっていた。

弟たち相手に大威張りの母。
繰り返される命令と「バカ」「嫌い」「あんたは言った」「私はそんなこと言わない」「覚えていない」。

 最近不登校に関する本を書いたというK叔父は、ボランティアで夜間中学などもやっている熱心な小学校教諭。

先月埼玉県の新任男性教諭が学校内で首吊り自殺した話を聞く。
ニュースでは「自殺の動機はまったくわからない」で片付けられてしまい、校内で自殺するとは脆弱エリートが、と本人が責められている。

成績優秀だった22歳の新任教諭は、埼玉県のエリート教員養成特別プログラムで育成された、5人の中の一人だった。
男性教諭自殺以降2人が恐怖で教壇に立てなくなり、今2人しか残っていないという。
プログラムの責任者は異動して知らん顔とか。

鳴り物入りで着任した新人君は、学校からも親子供からもかなり注目されていた。
授業中子供たちの前であくびをしたことが父母らにも知れ、学校にも酷く責められたという。
エリート君をかばう同僚や先輩はいなかったのだろうか。

自殺した日の5時限目はクラスの授業参観だった。その後には初めての父母会がある。
またギャンギャン糾弾されるに違いない。それを苦にしての首吊りだったのだ。

学校って本当に恐ろしいところだ。
授業参観を他の教諭が代行した、というのも信じられない対応だ。
子供たちの動揺を和らげるためって、後で「あの時既に担任は死んでいた。大変なことを隠されていた。たかが授業参観という行事を敢行するために!」と知る方がショックは大きいんじゃないか?

本人の性質で片付けられようとしてたところ、漸く組合も動き始めたというが、これで動かないで何のための組合かね。

 で、私もあくびしたら即クビになった、という話をした。
私は母に「バカ!」と言われると思っていた。
しかし、あくびで自殺の話の後だからか皆「酷いねえ、あくびぐらいするよなあ」。
母も「『あくびは大脳の働きを活発にするんです』って言ってやればよかったじゃない!」と意外な反応。

 母とT叔父が、空いた皿を寄越せ、うるさい、と喧嘩になる。私は叔父に加勢。
「オレは命令されるのが嫌いなんだ!」
「じゃあもう二度とうちへ来るな!」
とやっているので、「じゃあ私も行かない!」と私。
「ああ来るな!」と母。

本当は今日は新座に泊まって、明日は絨毯選びに付き合うはずだった。
お店を出て帰り際、母は「絨毯は?」と言ったが「来るなと言われたんで帰ります」。
これからまた実家で飲んで母に怒鳴られ続けるのも面白くないので、帰れることになって良かった。
絨毯選びは必要なら明日また来りゃいい。

 23時半過ぎ、『ご近所』のNさんから「飲まない?」とメール。
24時「池袋にいます」。おお、それなら行くよ。

4時までやってる『ダイニングバー オリーブ』。
私はもうお腹いっぱいだが、結構食べ、ビールを飲み続けるNさん。

「この間口説こうとしてた女の人はどうなった?」
「ああ、あれはもういい。メル友って感じ」
「Nさん、メール下手。質問一言だけとか、失礼だよ」
「友達だからいいかと思って」
「仲のいい友達ならいいよ。でも私とNさんはそういう間柄じゃないでしょう」
「許して」
「許さない」

「とんだことしたことある?」と私に聞くNさん。
「とんだこと?クスリとか?」
「違う」
「警察の世話になるとか?」
「違う」
Nさんの『とんだこと』はストリートでギター対決をして勝ったとか、コンビニに血だらけのメイクをして行って皆の注目を集めたとか。ふうん。

閉店後4時半までねばる。お会計1万円ちょっと。
5千円札を出して「厳しい?」と聞くNさん。
「大変厳しい」と私。
「まあ、俺の方がいっぱい飲んでるしな」ともう一枚千円札を出すNさん。

収入がないと知っている女を深夜に呼び出して、私より遥かに飲んで食ってきっちり割り勘にしようとは、驚き。
「もっとちゃんとしたお店でご馳走させてよ」などと言っているので
「それもいいけど、ここもよろしく」。
「じゃあ、バッグビジネス成功したら奢って」
「いいよ。成功したらね」

JRの改札まで送れと言うNさん。お安い御用で。
2005年05月21日(土)

抱茎亭日乗 / エムサク

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