セルフライナーノーツ。

2004年01月14日(水) 落ちてないYO! 『半落ち』  (※ネタバレ有)


3日前に抜いた上の親不知、どうやら腫れも痛みもなく落ち着いてくれて一安心。

何せ歯医者に行くのは小学校以来(Σ(゚д゚;))のワタクシ。
年末、僅かながら歯が痛み出したのでビクビクしながら出向いたところ、虫歯は確かにあったがそれも2本だけ!
”丈夫な歯ですねぇ…”と先生にお墨付き頂きました(笑)両親も歯医者に縁がなかったんだよね…有り難い遺伝だ(笑)
が、親不知に隣接した歯が虫歯らしく、”親不知上下抜きましょう!”とセンセイにあっさり言われ(^-^;
休日前の会社帰りにまずは上の1本を抜きました。頭の骨がミシミシ言ってて面白かった(笑)
下の親不知は横から生えてるらしく、上のように簡単にはいかないよ?と笑顔で脅され……2週間後の抜歯がコワイです(((((;゚Д゚)))))
(元エセ歯科衛生士のKヤさん、笑わないよーに!(笑))




会社の同僚に誘われ、『半落ち』を観に。
例によって、原作は未読(笑)
ナオタロウの何とも押しつけがましいテーマソングはともかく(この人、母親より寧ろさだ○さし路線を歩んでいるような気がする…大丈夫か?!(-_-;))、原作はベストセラー小説、寺尾聰・柴田恭兵・原田美枝子と手堅い役者陣が揃い踏みなので少々は期待して。
私の場合”泣ける映画”≠”感動した映画”なんだけど、でも、たとえ一瞬でも泣けたってことはそれなりのカタルシスを与えてくれたり、ストレスを発散させてくれたりした証で。
いいねぇ、大いに泣かせて貰おうじゃん!(*゚∀゚)=3とハンカチを握りしめ、シネコンに向かった私なのでした。


ぇえーと。
……うん、鼻にツーン、と何かが来る場面も無くはなかったんですよ?いわゆるぶち壊し演技をする俳優も、演出も無かったし。
こじんまりと手堅く作られた、小品。
       でも。
正直、『え?こんだけ引っ張って、これがオチ?』ってカンジ。てゆーか、落ちてない!(笑)
ゲタ履かせても60点
以下、ネタバレ雑感。











男はなぜ、最愛の妻を殺したのか−
男はなぜ、あと1年だけ、生きる決心をしたのか−?

キャッチコピーで使われてる、このフレーズ。
うん、これをそのまま根っこに持ってくれば良かったんですよ。つまりは、最初から人情劇にすればよかったのよ。
それを下手に”空白の2日間、妻を殺した男は何をしていたのか”、そこに拘る。推理物のように引っ張る。
だから、その理由を知らされた時”へ?そんだけ?”って話になる。それなら初めから告白してればよかったじゃん、って誰でも思うよ、あの作りじゃあ(笑)
主人公・梶が妻殺害を2日間自首しなかった理由。
映画を観る限り、”以前自分が骨髄提供した少年の姿を、(妻に代わって)密かに見に行っていた。それが世間に知れれば、少年が非難されると思い黙秘した”としか思えない。
心情としてはあり得ることだろうけど、ただそれだけのことで、(仮にも)元刑事である主人公が警察にも弁護士にも判事にも黙秘を続けていたとは思いがたい。
それに、そう告白したところで、本来臓器提供者と移植者との関係はお互いにも公にも知らされない筈だ。何らかのプライバシー保護はなされたんじゃないかと思う。


本当に描きたかったのは。
妻を殺して自分も自殺を決意していた主人公が、妻の残した日記を見ることによって、提供した自分の骨髄が誰かの命を繋いでいることを思い出し、そしてまだ、新たな命を救うチャンスがあるかも知れないと気づいた点?
だったらさっさと推理編は終わらせて、梶とアルツハイマーの妻と亡くなった息子と、その過去に焦点を合わせれば良かったのだ。
なのにこれがまた、警察内部の隠蔽工作とか、警察VS検事、検事VS弁護士、あたりがテンポよく描かれてるのでついつい”何か重大な真実が…?!”と期待してみちゃうのね(^-^;
その意味では、柴田恭平や伊原剛志、石橋蓮司の熱演なんかは無駄な出来の良さで(笑)


何て言うか…いい映画なんだけど、どっか偽善ぽい匂いが激しくするのだ。
いくら過去の人望とキャリアがあるとは言え、妻を殺した梶を見る周囲の目は最初から”この人にはきっと何か訳がある!”って信じ切ってるし。
(パパを見るチワワ並の瞳だったヨ…(笑))
この映画の善の象徴であるだろうラーメン屋の青年は、何とも無垢で木訥な表情で(や、さわやかに可愛かったんだけどね(笑))、しかも着てるモノが純白のタートルに純白のダウンですよ!白づくし!Σ(゚д゚;)輝いてる!(笑)
(あ…あなたひょっとしてゲ○ですか?!(笑))
そして、何より。
アルツハイマーである梶の妻(原田美枝子)が、ウツクシすぎる。顔の美醜じゃなくて。
同じアルツハイマーの実父を持つ裁判官(吉岡秀隆)の家では、毎晩のように父親が台所を荒し、暴れ、夫は父と手首を結んで眠り、妻はいっそ何処かへいなくなってくれれば、と願う。徘徊する父の背に、縫いつけられた大きな名札。かつては、名裁判官だった男。
もちろん病状の進行具合にもよるんだろうけど、梶の妻のアルツ描写は、ほとんどが記憶の障害だけだ。
息子の死を忘れ、夕方、家の前に立って帰りを待ち続ける。息子の分までケーキを用意し、もういないのだと諭され、その度に何かが抜け落ちたような顔をする。
何度も何度も、そうして繰り返し息子を殺さねばならない妻が可哀相だから、と請われて主人公は心中を決意する。
何て、綺麗事だ。
実際にはそれだけじゃない筈だ、天職だった刑事を辞めねばならなくなった、生活も変わった、自分の時間もなくなった、そこまで尽くしても妻はただ壊れていくだけだ。
同情や哀しみからだけでは、人は殺せないと思う。勿論、愛だけでも。


私情挟みまくりの裁判官(吉岡秀隆)の役が非常に気に入らなかったが(他人に介護制度勧めるくらいなら、まずは妻がテンパってる自分の家に入れろよ!)、ラストの満額量刑で少しだけ落ち着いた。
あれは、アルツの父(妻から見れば義父)に消えて欲しいと時に願いつつも、症状がなく静かな時間には小声で歌を歌いながら家事をする、そうしてささやかに幸せを見つけながら共に生きて行こうとする家族は大勢いるのに妻を殺す道を選んだ、その梶に対する彼なりの答えなのだろう。…というか、自分の妻への答えなんだろうな、と。
それから…誰でも彼でも女性記者(鶴田真由)に事情を漏らしすぎ!刑事も検事も被害者姉も…いくら美人だからって、ねぇ!(笑)
(そして鶴田嬢にのみ、専属スタイリストが2名もついてましたよ…ウフフ(笑))


チワワのクゥーちゃん並に、そこにいるだけで同情の視線を集める(笑)寺尾聡はもちろん、井原剛志の検事がけっこう良かった!身体出来てるからハクがあるし押し出しもいいし…インテリ役もいいんじゃないか?( *´∀`)
石橋連司の刑事もよかったのだが、何せ前クールの『共犯者』を毎週楽しみに見てたおかげで、この後浅野温子に刺されたりクール便で死体見つけたり、船で遺灰撒いたりするんじゃないかと気が気じゃなかったヨ…(笑)


とまれ、非常に消化不良な1品でした(´Д`;) 感想も消化不良気味…(笑)
いかに原作が面白くとも、映画として一つの世界が成り立ってなくちゃお話にならんよね。うん。









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