セルフライナーノーツ。

2001年04月17日(火) 落下。


夕食を作っていた時のこと。
うっかり不安定な場所に置いていた包丁が滑って落下。
ビョーン、と垂直に床へ突き刺さる(汗)まるでマンガみたい。
運良く自分からは離れた場所だったので、床以外に怪我はなかったのだが(笑)
(その床にしても抜き取った包丁にしても、何の傷も歪みも入らなかったし)。
でも、これってけっこうテク(?)がいる芸。よほどいい角度で落ちたらしい(笑)


高校時代、一時期演劇部に籍を置いていたことがあった。その時の話。
年に一度の大会に向けての練習が始まる。
演目(部の顧問(国語教師)が脚本を書いてた)の内容は粗方忘れてしまったが、ヒロインが取り落とした包丁が床に突き刺さる、まさにそのシーンがクライマックスだった(今考えると何ちゅー題材を選んでいたのかと思う。。。(笑))。が。
。。。これがなかなか難しいのである。
地面に向かって、怒りに任せて叩きつける、とかいうんだったらまだその方向も力もコントロールできるし、それなりに簡単だったかもしれない。
だが、茫然自失の女の手元から包丁がこぼれるわけだから、力はこめられないし手元に視線は向けられないし、あくまでもそんな(滅多にありえないよーな)不自然を自然に見せなくちゃならんわけである。
かくして床に落ちてはスピンする凶器に飛び退きつつ(笑)練習は繰り返され、その甲斐有って、彼女は地区大会の会場では無事、垂直演技(?)を披露することができた。が。しかし。
地区大会で運良く優秀校に選ばれ、いざ県大会へと進んだ、そのランスルーで。
思いもかけない悲劇が我々を襲ったのである!
”舞台に包丁が刺さらない”のだ。(というより”包丁の刺せない舞台”だったというべきか。。。)
地区大会で使用した会場の舞台は木で出来ていた為に問題はなかったが、今度の舞台はリノリウムの上に更にビニールシートが厳重に敷かれ、”舞台に傷をつける”なんてとんでもない状態だった。というより、”刺そう”としたところで”刺さらない”(笑)
(付け加えていうならば、敷かれたシートは単なる保護の意味だけでなく、十数校分の照明位置を色とりどりのテープでバミっていたため、と思われる。)
顧問も一応交渉していたようだったが、当然ウチの演目時のみ床に何かを敷き詰めるほどの時間も部材もなく。
。。。で、結局。
あれほどに苦労した”落下する包丁”の1シーン、本番では敢えなく変更になってしまったのである。
がくり。


映画であったりドラマであったり舞台であったり。
そうした虚構の世界では恐らく”神”の1人であるだろう監督・脚本の意図するところと、(演技者の出来不出来に拘わらず)現場や環境が合致しないという現実を。
目の前ではっきりと見せつけられた遠い日の記憶。


。。。だから『バトロワ完全版』、明日は気楽に(そして製作側の苦悩を慮りつつ)、観に行って参ります。
幾漠かの煩悩にも、陰でこそりと浸りつつ(笑)。
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