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2008年08月14日(木)
  墓参

 うちの墓参りは、ちょっとした登山気分だ。
 元々山の中腹にあるお寺が、上へ上へと墓地を造成しているから、新しい墓ほど上になる(ちなみに山頂には戦国時代の城跡がある筈だけど、流石にそこまではまだまだ遠い)。
 「うち」の墓は決して新しくないから、実はそこまで上でもない所に位置している。でも、父の3番目の姉と妹の墓が、上の方にあるのだ。「うち」の隣は父の2番目の姉の夫(即ち私の伯父だが、私が生まれるより前に亡くなっているので私はどんな人か知らない)の墓。都合4つのお墓を、上から順番にまとめてお参りする。

 朝10時少し前に、父と相方と共に父の車で家を出発。帰省ラッシュは昨日がピークだったみたいだけど、それでも高速は途中まで渋滞。何とか2時間ほどで伯母(父の2番目の姉)の家に着いた。少し休憩して、従兄も合わせて5人で、更に車を走らせ墓へ向かう。

 墓参は多分、4年9ヶ月ぶり。随分御無沙汰だけど、お盆のラッシュを嫌った父は夏休みは7月末〜8月初めにかけて取り、伊豆に海水浴に行って帰りに祖母の家に寄るというのが昔の我が家の恒例行事だったから(たまに伊豆じゃないことがあったけど)、お盆に墓参となると最早何年ぶりのことだか判らない。少なくとも、お盆にしか休みが取れなかったか何かの理由でお盆に帰省し、幼い私はわざわざ家にお坊さんがお経を上げに来ることにも仏壇の前の盆灯籠にも驚いたことがあるから、初めてではないのは確かなんだけど。

 そんなワケで、国道から側道を下りて、お寺へ続く急坂をアクセル全開で上り(お寺に入る最後の15mくらいは、ホントに踏み込まないと上れないと思う)、駐車場に車を止め、バケツに水を汲んで、一番上から順番に墓参。
 一番上が父の3番目の姉の墓、その1段下の右端が父の妹の墓。そこから雑草をむしったり落葉を掃いたり蜘蛛の巣を払ったり墓石を磨いたりして、お花とお水と線香を供える。こんな人数で墓参することなんか法事の時以外ない(と言っていい)から、線香の量が多すぎて、消しても消しても炎が上がる。まあ山火事にはならないと思うけど。
 上のふたつが終わったら、今度は下のふたつ。でも伯父の方はまだ墓石を建てていないし、上の方と違って雑草が生えるような造りでもない(完全にコンクリ固め)から、箒で掃いて、うちの墓石を磨いて(でも上のふたつより古い分、磨いても綺麗にならない)、同じようにお花とお水と線香を供える。
 ちなみにうちのお墓の脇にはお地蔵さんがいる。祖父母が眠る墓だけど、祖父が早くから墓地を確保していたのは、父の兄姉にあたる子が、幼いうち(父が生まれる前)に3人亡くなっていたからだと思う。隣の伯父の墓地も、本来うちの墓地だったものを、祖父が分けたと聞いた(だから隣り)。そのお地蔵さんにもお花とお水と線香を供え、これでやっと墓参が終わる。
 本当のところ、虫大嫌いな私は、見てるだけで殆ど何もしない。もう70近いだろう伯母の方がよっぽどあれこれしているが、困ったことにうちの父は私が誘わなきゃ墓参なんかしやしないから、いつもお墓のことはこの伯母と従兄に任せきりなのだ。父と相方がいるだけで、伯母にしてみれば大助かりなハズ(そしてその2人を連れてきたことだけが多分私の功績だ)。
 困ったことといえば、うちのお墓の「●●家之墓」の文字が彫られた部分には、何故か知らないけど虫がよく巣を作る。気持ち悪いから何の虫かも判らないし私にはどうにも出来ないけど、要するに私は、一人で墓参に来ても掃除は出来ない、ということだ。いや困った。

 汗だくで振り返ると、すぐそこの丹沢の山並みの上の入道雲が、黒くなってきていた。
 嗚呼、これは夕立になりそうだ。

 父や私がここに来ること自体が稀だから、雨くらい降るかもね、と思う。
 でも伯母は「(仏さんが)もう喜んじゃってしょうがないよ」と何度も言っていた。

 最後にお寺の本堂に上がり、年忌を確認する。今年11月に伯母の七回忌、そして再来年には祖父の三十三回忌と祖母の十七回忌と叔母の十三回忌がまとめてやってくること判明。
 「おじいさんとおばあさんのは一緒にやっちゃえばいいよ」と伯母が言うが、相当しつこく父をせっつかないと、父はそんなこと忘れるだろうし、あまり気にもしないだろう。
 でも私は、飛行機さえ飛べば、自分の祖父母の法事くらいは何処にいたって出る気でいる。当たり前じゃないか、もし父がいなくなれば、施主を務めるのは母か私か相方だ。

 最後、従兄に「ホントに悪いけど、うちのお墓も宜しくお願いします」と頭を下げた。従兄は仕方ないなというような顔で頷いてくれた。

 帰路、横浜(山の方)の辺りで夕立は本降り。東京で高速を下りた頃はまだ降っていたけど、家に着く頃には上がっていた。


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・過去の「今日」。

2007年08月14日(火) ぱらんせ <画像あり>
2006年08月14日(月) 停電してもおでかけ <画像あり>
2005年08月14日(日) 防府へ <画像あり>

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