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■ 2005年12月09日(金) 日常←/→非日常
広島や今市で相次いで小学1年生の女の子が殺害されるという痛ましい事件が起きています。偶然ですが、広島の現場も今市の現場も、私、付近を通ったことがあります。ちなみに広島の方の犯人は、一時期うちの町内に住んでいたという「噂」があります。噂なので本当かどうかは知りませんが、町内に外国人が多いのは事実です。その人達が不審者扱いされると、それも気の毒な話です。
私が生まれ育ったのは、東京の住宅地にある商店街の中です。駅にも近かったし商店街ですから、当然人通りはあります。車もかなり通ります。それは今も昔も変わりません(店の数は減ったけど)。
私が小学生の頃の話ですから、もう20年近く前のことです。 その頃、私は商店街の中にあるマンションに住んでいました。そのマンションの隣りに、商店街には何だか不釣り合いな西部劇チックな建物が建っていたんです。子供だった私にはよく判りませんでしたが、まあ居酒屋だったんだと思います。そこのマスター(多分)が、いつも濃いサングラスを掛けた30〜40代くらいの男性だったんですが、我々子供の間では「あいつは人さらいだ」とまことしやかに噂されていました。
都会の商店街の真ん中に位置する西部劇風の居酒屋。そこの店主は「人さらい」。
何だってこんな噂が広まっていたのか判りませんが、当時、子供達はこの話を半信半疑ながら語り継いでいました。保護者達がどう思っていたのかは判りません。そして当然と言えば当然ですが、近所で子供が行方不明になったというようなことは一度たりともありませんでした。さらわれた人もいないのに、「人さらい」がいたんです。
その後、西部劇風の居酒屋はコンクリート打ちっ放しのビルに建て変わり、店主はビルの上階の部屋に住んでいたようです。 それからしばらく経ったある日、うちの母がそのビルから青いビニールに包まれた(恐らく)遺体が警察によって運ばれていくのを見ました。不審な死を遂げたのは、例の店主。「人さらい」です。
不審者、という言葉を聞くと、この中途半端なファンタジーのようなホントの話を思い出します。勿論、あの男性は本当は人さらいでも何でもなかっただろうし、だから懐かしく「そんなこともあったな」なんて思い出せるわけです。
勿論、家が建ち並ぶ東京の住宅地にも不審者はいくらでもいます。「写真撮らせてくれませんか」なんて声を掛けてきた変態さん、原チャに乗って「クラッチ握ってもらえませんか?」と下半身を露出する変態さん、「ほ、ほ」と呟きながら凄いスピードで追っかけてくる通称「ほのおじさん」(でもおじいさんだった)。色んな人がいる東京ですから、色んな不審者がいます。
自分に危害を加えられるワケじゃないけど、とにかく何かおかしな「変な人」は、きっと子供達には必要なんじゃないかと思います。実在しなくても「噂」でいいんです。口裂け女とかと同じレベルの「都市伝説」として、子供達はそういう存在を勝手に生み出すんじゃないかと思います。鬼ごっこの「鬼」と同じで、日常でちょっとしたスリルを味わうために創り出す「非日常」。その先にはいつもと同じ「日常」があると約束されているから、子供達はスリルを楽しめます。 でもいたずらしたり殺したりするような本当の不審者じゃ、非日常から日常に戻れなくなっちゃうんですよ。日常と非日常は不可逆では困るんです。
何で危険な人が増えちゃったんでしょうね、地球は。
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・過去の「今日」。
2003年12月09日(火) 初デートv <画像あり> 2001年12月09日(日) 私的時宗の楽しみ方
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