琴 星 商 事 日 乗
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2005年07月09日(土)
  久々の大和路紀行 <画像あり>

 夫の仕事も昨日で終わったので、今日は朝から車で奈良方面へ。奈良でも中心部は車で廻るのは不便なので(駐車場高い)、もっと南の桜井方面へ車を走らせます。京都には結構来ているけど、奈良は9年ぶり3度目。前に訪れている磐船神社(大阪府交野市)の前を通り抜けて生駒へ抜けましたが、磐船神社から生駒ってめちゃ近いのね。交野の市街に出るより近いんじゃ? 山を下ることなく街があるとは思いませんでした。

 雨そぼ降る中、最初に訪れたのは天理にある大和(おおやまと)神社。元々は伊勢の天照大神と共に宮中に祀られていたのを、第十代崇神天皇が御神威を畏み大和郷に遷御遊ばしたのだとか(2000年以上前の話)。当然、「延喜式」では名神大社、明治4年には官幣大社に列した大社。御祭神は日本大国魂神(大地主大神)・八千戈大神・御年大神の三座。その三座を宮中三殿式の御正殿に祀っているんだけど、拝殿の後だから写真にはうまく撮れないなぁ。

 本殿向かって左に雨の神を祀る高靇神社があったので、好天を祈願。雨やみますよーに!

 御朱印を頂きに社務所に行き、宮司さん(だと思う)に御朱印帳を預けて待っていると、建物右手から何かの気配が。あ、犬だ。縁側に白い犬が出て来てじっとこっちを見ています。その気配に好意を感じたので、寄っていって目を合わせてみます。犬も寄ってきて私のにおいを嗅ぎます。うん、大丈夫そうだ。よーしよし、可愛いねぇ。頭や背中をなでなで。綺麗な毛並みをしています。可愛がられてるんだね。
 宮司さんが戻ってこられた気配がしたので、(せいぜい2m程度なんだけど)戸口に戻ります。宮司さん、犬が出て来ていて私と遊んでいたのを察した様子。
「犬飼ってらっしゃるんですか?」
 いいえ、ペット飼えないんで。(賃貸だからね)
「へえ、そうなんですか。知らない人が来るといつも吠えるんですけどねぇ」
 え、そうなんですか。(「わん」とも「ウー」とも言わなかったけど)
「タチ(性質)が合うんですかねぇ」
 犬って犬嫌いな人のこと追っかけたりしますしねぇ。
「ヒメって言うんですよ。ヒメ、ヒメ!」
 縁側に横たわっていたヒメちゃんは、宮司さんに呼ばれてもそっぽ向いたまま。ヒメちゃーん。あ、こっち向いた(笑)。
「雨、だいぶ弱まってきましたね」
 宮司さんの言葉に後ろを振り返ると、確かに参拝していた頃にはかなり降っていた雨が、傘無くてもいけそうな程度に弱まってます。お、高靇神社に祈った甲斐あったかも。
「それはそれは。きっといいことがありますよ」
 宮司さんと少々世間話をして、御礼を言って帰ろうとすると、何処かうろついていた(多分煙草でも吸ってた)夫が戻ってきました。ねーねー犬がいるのー。
 夫を連れてヒメちゃんに近付くと、ヒメちゃんはパッと体を起こし、一瞬唸ります。おおっ、私の時にはなかった反応! でも私がいるからか何なのか唸ったのはそれだけで、なでてやったら体を横たえ、お腹を見せてくれました。ええ子じゃええ子じゃ。

 ヒメちゃんを手懐けたところで(違)、続いて桜井の大和国一宮・大神(おおみわ)神社へ。
 大神神社は背後に聳える三輪山を御神体とする為、本殿がありません。ここの神様にまつわる神話は結構有名です。「日本書紀」に載っているお話ですが、三輪山の神様が小さい蛇になって倭迹迹日百襲姫命という女性(箸墓古墳の被葬者とされています)のもとに夜毎通った神婚伝承。そう、三輪山の神は蛇神なんですね。御陰で境内のあちこちに蛇の好物の卵が供えられ、手水舎の水も蛇の口から出ています。

 拝殿前には夏越の茅の輪。北陸で散々くぐった茅の輪に、またしてもご対面です。もう誰に訊かずとも迷わずくぐれます。ただ、くぐる際の唱え事は、所により違うようだけど。まあ折角だからちゃんとくぐってから参拝。
 参拝を終えて授与所で巫女さんに御朱印をお願いすると、何とその若い(絶対私より若い)巫女さんが墨書もするじゃないのさ! 多くの神社では巫女さんは墨書しない(つか出来ないと言った方が正しいんだと思う)んですが、ここでは神職がいないワケじゃないのに巫女がするんだぁ。そりゃー巫女も大変だ。でもそれならもう少し書道の練習した方がいいんじゃないかと思うんですが。だってここ一宮じゃん。一宮の巡拝してる人は多いから、御朱印もいっぱい出るでしょうに。

 若宮社を経て末社の久延彦神社へ。祭神の久延毘古命は「かかし」のこと。居ながらにして世の中の事をことごとくお知りになっている神様だから、智恵の神様として信仰されています。天神さんと同じく合格祈願の絵馬がいっぱい。
 ここでも御朱印が頂けるんですが、ここも巫女さんが墨書します。腕前も、本社と似たり寄っ(ry

 大神神社から若宮社・久延彦神社へ向かう道に、いくつか三輪素麺のお店がありました。時間もお昼前。大神神社のすぐ近くにある普通の民家(と言っても年季は入ってる)っぽいお店でお昼。冷やし素麺をいただきました。


大和神社御正殿(の屋根部分)、大神神社手水舎の蛇、三輪素麺(冷やし)。

 腹ごしらえも済んだところで、同じ桜井市内の安倍文殊院へ。あ、ここも文殊だから智恵の仏様ですね(^^;)
 安倍、といえば、昨今有名な安倍晴明。ここ安倍文殊院は、大化改新時に左大臣になった安倍倉梯麻呂(くらはしまろ)が一族の氏寺として建立した寺院です。「天の原 ふりさけ見れば 春日なる・・・」の歌で有名な阿倍仲麻呂も当地の生まれといい、安倍晴明もその子孫と言われます。どこまで本当だか判りませんけど。駐車場から本堂に向かう途中にある特別史跡・文殊院西古墳は倉梯麻呂の墓と言われています。玄室内に入れるんですが、花崗岩で覆われた内部は「これ本物?」と思うほど綺麗に削られています。古墳内部の美しさは日本一と言われてるんだって。入口は天井がやや低いですが、内部は普通に立てます。でも出口で頭を打つのはお約束w

 本堂の拝観料は700円。相場を考えるとやや高めです。が、ここの拝観には何と智恵の抹茶と手作り落雁が付いてくるんですよ。受付を済ませると入口を入ってすぐの部屋に通され、懐紙を受け取って赤い毛氈の上に座って待っていると、抹茶と落雁がやって来ます。でもさ、お茶の作法なんて(情けないことに)判らないので、テキトーに味わわせて頂きました(^^;) ごちそーさまです。
 本堂に安置されている本尊「智恵の文殊」文殊師利菩薩騎獅像は、高さ7mで日本最大。しかもあの有名な快慶の作だとか(台座の獅子は安土桃山時代の補作)。へーへー。文殊菩薩の左右に置かれた善財童子、優填王像、須菩提像も全て快慶作。全部まとめて重要文化財。へーへーへー。写真は撮れないけど、かなり近付いて拝観することが可能。ちなみに、ぼけ封じにも御利益ありですよん。
 本堂を出てから、境内の晴明堂も拝み、文殊院を後にしました。ちなみに、駐車場の駐車料金高いっす。

 さてここから市内の山の中へ。多武峰の談山神社へ向かいます。多武峰。中大兄皇子と中臣鎌足が蘇我入鹿を討つ為の謀を談じたと伝わる地です。「談い(かたらい)山」故に「談山」。同じ市内なのに随分山道を車で進んでいきます。
 駐車場に車を止め、雨の中土産物屋の前を通り抜けると「別格官幣社 談山神社」の社号標と鳥居が。神社にしては珍しく拝観料500円を支払い、境内へと階段を登ります。拝殿・本殿は階段の上ですが、途中に左右に抜ける道が。右は恋神社こと東殿、左は神廟拝所や蹴鞠の庭。ここは取り敢えず左に行っておこう。
 神廟拝所の横を抜けて正面・蹴鞠の庭へ出ると、上には権殿と有名な十三重塔が見えます。神廟拝所には「勝運祈願 鎌足公御神像公開中」「秘仏 談峯如意輪観音像特別展観中」「特別朱印 十三重塔朱印」といった貼り紙が。如意輪観音はあじさい祭りの期間のみ一般公開されている模様。あら、いい時期に来たじゃない。
 神廟拝所内を拝観し、御朱印も頂き、上へ登って十三重塔も拝み、拝殿へ。拝殿内では若い女性の集団が研修か何かで訪れていたようで、引率者のもと、神職の説明を聞いていました。何か入りにくかったけど、入らなきゃ意味がないので中へ。
 拝殿に入って左奥(本殿に向かうと右側)に「藤原氏族一覧」というパンフレットが置かれていました。藤原氏、即ち鎌足に連なる氏族約4,000の姓を書き連ねたパンフ。実は私の母方は江戸の初めまで武家でして、藤原氏の出です。ちゃんとパンフにも姓が出ていました。一部100円。でも小銭がなかったし、面白いけど必要なワケではなかったので買いませんでしたw
 神社の裏の御破裂山に鎌足公の墓所(古墳)があるんですが、そこまで徒歩20分。流石に雨の中登山ってのは嫌なので、行きませんでした。

 さて、時間足りないかなーと思ってたんですが、意外と時間が余ってしまいました。何だこんなことなら三輪で狭井神社や檜原神社も行っておけばよかった。でもまた戻って行くのもなんだしなー。どうせまた行くこともあるしなー。さてどうしたもんか、地図を見ながら色々思案を巡らせます。あら、談山神社から南へ抜けると吉野神宮まですぐなんだ。吉野って遠いと思ってたのに、意外とそうでもないのね。でも吉野に行くなら吉野神宮だけじゃなく吉野山の上まで行きたい。だって修験の地じゃない。そこで吉野神宮だけで終わらすなんて有り得ない。じゃあ何処にするか。うーん。帰り道がてら行けそうな所・・・よし、廣瀬大社にしよう。

 法隆寺の近くを抜け(法隆寺を拝観するには時間足りないので今回はパス)川を越えて廣瀬大社へ。こちらも「延喜式」名神大社、旧官幣大社という立派な社格を誇る古社なんですが、一の鳥居もそう大きくないし(平成10年の台風で倒れて再建したそう)、境内にも誰もいない(雨だからか?)。思っていたよりこぢんまりとした神社です。
 但し、拝殿前には広い何もない空間。玉砂利ではなく砂が敷き詰められているのには意味があります。
 廣瀬大社の鎮座地は、北葛城郡河合町川合。大和川(初瀬川)・佐保川・寺川・飛鳥川・曽我川・葛城川・高田川・富雄川という大和盆地を流れる全ての川が合流する地点にあります。この社は水の神様。拝殿前の砂の広場では、毎年砂を雨に見立てて掛け合う「砂かけ祭」と呼ばれる祈雨のお祭りが行われるんです。砂利でそんなことしたら痛いでしょ?
 古そうに見える(でも明治以降の建築だそうで)拝殿は吹抜(壁がないの)で自由に上がって参拝出来そうだったので、上がってみました(駄目だったらすみません)。スイカとメロンが供えられた神前。水神という性格を考えれば、瓜科であるスイカとメロンが供え物っていうのはとても相応しいかも。拝殿内からは正面に春日造りの本殿が門越しにちらりと見えました。こっちは平成12年に大改修を終えたばかりだそうで、朱も鮮やかです。
 天気は残念だけど、水神だから仕方ないかぁ。


安倍文殊院西古墳、談山神社十三重塔(と後ろに権殿)、廣瀬神社拝殿より御本殿。

 廣瀬大社を後にして生駒へ向かうと、雨も徐々にやんできました。途中、やや道が混雑していた所で、前の車3台が続けて駐車場に入ったスーパーにつられて立ち寄り。だって看板には「激安」の文字、混み合う駐車場、しかも前3台が全部入るって。ホントに安そうじゃない。
 入ってみたら、ホントに結構安かったです。ちょっとお買い物して帰りました。

 雨上がりのこの辺りの山は、水蒸気を上げてとても幻想的でした。


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・過去の「今日」。

2004年07月09日(金) そうだ、選挙に・・・

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