琴 星 商 事 日 乗
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2004年10月15日(金)
  204分15秒 <画像あり>

The telephone is ringing at midnight.


 東京では寒い日が続いていたようだけど、広島も昨日今日で急激に冷え込んできた。秋。そして冬。人恋しくなる季節。

 昨日の昼間、友人から恋の悩みを打ち明けるメールが届いた。何となく尻切れトンボだったそのメールにひとまずレスをすると、「近々相談したい」と。そして深夜、我が家のIP電話が鳴った。

 誰かの悩み相談に応じることは、比較的多いかもしれない。相談まで行かなくても、打ち明け話に「バカだなぁ」とか「気にしすぎだよ」とか相槌程度の感想を述べることまで入れたら、結構多いんじゃないだろうか。それ自体、迷惑だなんて思うことは全くない。相談とか打ち明け話って誰にでも出来る話ではないだろうし、それが出来る付き合いの相手と本音で話をするというのは、(悩み相談に対しては語弊もあるけれど)とても楽しい。あんまりにも堂々巡りだと、「いい加減にしろー!」と思うこともあるけど、それも含めて、普段夫以外の人間と会話することがない私には、とても有り難い時間だったりする。

 誰かの悩みに対してアドバイスをする、という行為は、自分を振り返る行為でもある。相手の発する言葉に対し、アタマをフル回転させて一言一句の意味を判断し、自分の経験や人に聞いた話、テレビや映画や漫画や小説、その他私が過去に得た全ての情報+常識と照らし合わして、発語する。と云っても、これは「直感」に近いもので、この「直感」で得た結論を発語した後で、喋りながら「どうしてそう思うのか」を肉付けしていくのが、私の話し方であり、考え方でもあると思う。

 こうやって人にアドバイスをしたり意見したり、時には叱ったりもする私だけれど、私自身、自分の中から発せられたそれらの言葉通りに生きてきた訳でも生きている訳でもない。「誰か」に向けて発したその言葉。それらは全て自分にも向かう言葉でもある。だから、どれだけ私がアドバイスをして、相手がそれを頭で理解しようとも、必ずしもその通りになんて行動出来ないなんてことは、痛いくらいよく判る。私の発した言葉が相手の痛いところを突くこともあるだろう。でも、私の心も痛い筈なのだ。人と話している時には、その痛覚は全くと云っていい程に働かないのだけれど。

 そんな訳で、恋の悩みから物事の考え方に至るまで、自分の痛みは完全無視でたくさんたくさん言葉を述べた。たくさんたくさん話を聞いた。
「じゃね、おやすみ」
 そう云って左手の中の子機の「切」ボタンを押した時に表示された通話時間は、「204分15秒」。それだけの長時間、自分のことは棚に上げて話が出来る自分に呆れてみたり。まあ人間なんてそんなものだよね、きっと(私だけ?)。

 外はまだ闇い。今年も、秋の夜は長く、そして、人恋しい。


**************
・過去の「今日」。


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