無責任賛歌
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2004年08月29日(日) |
なんか居たたまれない一日でした。 |
定例の劇団練習日。しげはauにも用事があるとかで、先に出発、私はあとで合流。 練習自体は1時からだが、早めにパピオのロビーで打ち合わせもする、ということで、11時に集合したのだが、考えてみれば私は特に打ち合わせすることはないのであった。ちょっと騙されたか(~_~;)。 今回は「時間厳守!」をしげが散々言ってたので、出欠の連絡もほぼキチンとされていたようだ。客演やご協力の方々も含めて、今日はスタッフ、キャスト全員が集合の予定であったのだが、残念なことに都合が悪くて欠席した人もいる。よしひと嬢は、もう先からずっと家庭の事情で練習に参加できないのが痛い。あと具合が悪くて中野さんが来れず。誰とは言わないが、「現役女子高生美少女」を楽しみにしているヒトもいるので、非常に残念な様子であった。でもこの二人の欠席は仕方がないことである。 問題なのがもう一人、Kさんという方で、一応、私も旧知の女性ではあるのだが、今回も本人は必ず出席すると言っていながら、直前になって連絡がつかなくなってしまった。実は先週もそんな感じで練習に来なかったのだが、そりゃハナから参加する意志がないのと違うか。先週来られなかったのは「急に仕事が入ったから」ということだったらしいが、休日に急に仕事の入る可能性のある職種であるのなら、そもそも芝居に参加すること自体、難しいと思う。未だに劇団ホームページの方にも出演者情報として名前を載せられないでいるのだが、早いうちに意志表示をハッキリしてくれないと、員数外にカウントせざるを得なくなってしまうのである。 それでも、ほぼ全員の出席となると、それなりのスペースのある練習場もかなり狭く感じられる。つか、今日初めてお会いした方もいて、たとえ「名前だけ代表」の私としても、忸怩たる思いを抱かずにはいられない。まだまだウチの劇団の実体を把握しちゃいないのだと思うと、全く汗顔の至りである。
前半は台本の通し。集まったみなさんに芝居のだいたいの流れを把握してもらうためなのだが、演技がまだとても人に見せられるレベルに達していないのが痛い。ウラの準備の方が忙しかったせいもあるのだが、主役3人のスキルがここんとこ全然上がっていないのである。つか、注意したとこも全然治ってないしなあ。いくら細かく演技指導したって、片っ端からそれ忘れられてたら、なんの効果もない。 ことに、しげが一番ヘタクソなのが見ていてツライ。多少ネタバレして話してしまえば、これは「既知外に見えない人間が実は一番既知外だった」という話なので(『まぼろしの市外戦』ですな)、しげは多少抜けてはいても一見マトモに見えなければいけないのである。ところが、セリフは上ずる、動きに落ちつきはない、芝居の「要」として全く作用していないのである。まだ公演まで時間がありはするが、こういう役の勘所を抑えるのは、殆ど才能に起因するところなので、ちゃんと修正が効くかどうか、甚だ疑問である。正直な話、キャスト変更も考慮しなければならないくらいヒドイのだが、如何せん、代替の役者なんてウチにはいない。演出“補”の立場としては強権発動もできないが、このまま上達のきざしが見られないようなら、早い段階で客演を誰かに頼んだ方がよかないか。ってその決断もしげ自身がしなけりゃならないのだけれども。 それが無理なようなら、脚本、今の半分くらいに削らないといけなくなるか。でもそうするとまた話の辻褄が合わなくって「意味わからん」とか言い出すヤツが出てくるんだよな。えいくそ、説得力持たせる発声もできねえ、自分でホン書く実力もねえくせに、注文ばかりつけてんじゃねえよな、全く。
練習の後半は「劇団改FREE’ズ+」の冨田文子さんにご協力を頂いて、ラストシーンのダンスの指導をしてもらう。事前に動きを知っていたのは客演の草野さんだけで、他のメンバーは全員これが初練習。冨田さん、3時間の練習時間を貰って、初めは「時間が余るかも」とか言ってらしたのだが、冗談ではない。ダンサーズ諸君、こうまで音感の悪いヤツを揃えたか、と言いたいくらいに覚えが悪い。……いやまあ、それは最初からわかってたことだから、台本段階ではどの曲についもデタラメに踊ったって話が成り立つように作っといたんだが、練習を重ねるうちになんだかどんどんマトモなダンスを踊りたがるようになっていったのである。自分で自分のクビ、絞めてってるんだよなあ。 3時間経って、何とかマトモに踊れるようになったのが4、5人。あとはもう、殆どワヤクチャである。各自、練習がない日もちゃんとダンスの復習とかしててくれてたら問題はないのだけれど、なんかサボリそうなやつもいるしなあ。
まあ、前途多難ではあるが、スムーズに行った公演なんて一度もないし、ある意味ウチの劇団が強いのは、「才能もなきゃ努力もしないのにそれでも芝居を続けてられる度胸」である。誉めてないか。 いや実際、不思議で仕方がないのは、自覚がないならともかく、自分たちが努力してない事実を知っていながら、それでも芝居を続けようとする意志だけはある、というその矛盾なのだね。 しげにはこれまで何度となく、「おまえは何をしたいんだ?」と聞いたことがあったが、はかばかしい返事が返って来た例がない。別に難しい答えを期待しているわけではなく、「面白い芝居を作りたい」とか、それだけでも構わないのだが、それもない。多分「面白い」という要素は、しげの考えている「芝居」の中心には存在していないのだ。じゃあどういう芝居が作りたいのか、と問い詰めると、黙りこんでしまう。そりゃそうだろう、しげには「作りたいもの」なんて何もないのだから。たまに苦し紛れに「宇宙の謎を解き明かしたい」とか言うこともあるが、解き明かしてどうするのか、それを芝居でどう表現するのか、やっぱり何にも考えていないのである。 しかし芝居に限らず、映画も、小説も、音楽も、いや人生そのものだって、結局は「無」から「有」を生み出す作業なのである。誕生は無意味だが人生は無意味ではない。というか、意味あるものにする自由を我々は与えられているのだ。私の書く芝居は、結局はそのことだけしか語ってはいない。それに共感できないのなら、私に脚本依頼するのはたいがいでやめてもらいたいんだけどねえ。
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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