無責任賛歌
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2004年04月22日(木) |
映画トラブルあれこれ。 |
今日は仕事が糞忙しくて、帰宅が午後9時。 仕事の中身はもう書きたくないので、ほかのことをいろいろ書く。
今年は久方ぶりにダン・エイクロイドの出演する映画、ジョン・グリシャム原作の『スキッピング・クリスマス』が、日本にも輸入されることが決定しているが、この映画、クランクインしたばかりだというのに、ちと困ったトラブルに巻き込まれてしまっている。 でもなんかそれが実につまんない理由で、同時期に公開される予定のベン・アフレック主演の『サバイビング・クリスマス』とタイトルが似ているので、レイティング審査をするMPAAからタイトルを変更するように指導されたというのだ。 何か私にはこれがどうしてタイトル変更の理由になるのか全然理解できないのだが、タイトルが似てたらダメっていうんだったら、日本の一連の『愛と○○のなんたら』ってやつ、全部取りしまわれちゃわないか。第一、原作のタイトルは既に発表済みなんで、これを変えろってのはもっとややこしい問題を生みはしないか。何となくグリシャムを標的としたいやがらせのようにも思えて、ウラをいろいろと想像するとちょっと怖くなる。 なんだか、昔、マルクス兄弟の『オペラは踊る』(原タイトル・『カサブランカの夜』)が制作されていたときに、『カサブランカ』の制作会社であるワーナーがクレームをつけて、それに対してグルーチョ・マルクスが「賢明なる観客は、きっと、ハンフリー・ボガートとうちのハーポ・マルクスを見分けられることでしょう」と手紙を送って事無きを得たというエピソードを思い出したけれども、そんなふうに円満に治まらんものか。MPAAも、こういう下らんクレームをつけるヒマがあったら他にやることないのかと言いたくなる。 まあ、最終的に映画が完成してくれれば問題はないんだけれどね。
本家中田秀夫監督が監督することになったハリウッド版『ザ・リング2』に、前作でサマラ役を演じていたデイビー・チェイス(表記が変わったな。前は「ダヴェイ」だったのに)が出演しなくなったとか。アーレン・クルーガーの執筆した初稿に存在した生前のサマラが登場するフラッシュバックのシーンが、決定稿からカットされたためとか。 まあ、貞子っつーか、サマラは姿を見せない方が怖さは出せるから、この決定は悪くはないかもしれないけれど、前作の彼女の魅力は捨て難いものがあったから、ちょっともったいないなとは思う。でも本家『リング』シリーズも『2』以降はどんどん失速していったし、さて、ハリウッドリメイクがそれを越えられるかどうか。基本的にアレは一作こっきりにしといた方が面白いネタだと思うんだけどなあ。
友人から、あるサイトの日記に『カスカベボーイズ』について、お笑いな批評が載ってるぞ、と教えてもらったので覗いてみたのだが、なるほど、なんだかトンチンカンなことばかり書かれてある。 どうやら映画をあまり見たことはない人のようで、若い人が背伸びをしてモノを言おうとすると、乏しい知識を総動員して語るものだから、往々にして引用や例えが的外れなものになってしまうアレをやらかしてしまっているのである。 あの映画の中の世界を「時間が動かず太陽が中天に止まったままという明らかにペルシダ−を思わせる不条理世界」なんて書いているのだが、この人、本当にバローズの『ペルシダー』シリーズを読んでいるのだろうか。別にアレは地底世界ってだけで、時間がとまってるわけでも何でもない。「不条理世界」なんて表現は当たらないんだけれど、どうやら「不条理」という言葉の意味自体もよく分からずに使っているようである(それとも私の記憶違いであの世界は時間が止まってた世界だったのか? もう読んだの何十年も前なんで細かい設定忘れてるんだけど)。つ〜かね、映画の中の世界なんだから、引用するならほかにいくらでも適切な例もあろうに、『ペルシダー』ってこたなかろうよ。バスター・キートンの『探偵学入門』も見てないのだなあ、この人。半可通だとしても、かなり軽率な御仁のようである。 「悪役中の悪役たるジャスティス、彼は恐ろしくパラダイスキングを思わせる」なんてのも『クレしん』映画くらいしか見てないんだなあというのが丸分かりで、どうもジョン・ウェインすら知らないらしい。昔の映画をまるで見てないのは若い人の共通項みたいなものだから、もう今更責めたって仕方ないとわかっちゃいるのだが、『クレしん』映画を批評する例えとして『クレしん』映画を引用したって何の意味もないってことに気が付いていない。一応その人本人としてはこのあたりで『カスカベボーイズ』を誉めているつもりなのだろうが、阿呆が誉めると映画自体が阿呆に見えてしまうので、逆効果にしかなっていないのである。どうにも困ったちゃんである。 極め付けのトンチンカンな文句は次の一節である。 「ただ、どうしても私としてはこの映画を良作であると結論づけながらも、前作『ヤキニク』にシンパシーを感じざるを得ない。『ヤキニク』のごとく、シチュエーションコメディよりもギャグ映画を目指した作品は“映画”として“奇形”にならざるを得ず、その“奇形”こそが私のような人間をひきつけるのだ。同時に、それが『ヤキニク』があれほど世間の理解を得られない理由の最たるものであるのだけれども」 ああ、この人は喜劇映画を殆どマトモに見たことがないのに喜劇映画を語っているのだなあ、と脱力してしまった。「シチュエーションコメディ」に対置する概念は「スラップスティック・コメディ」であって、「ギャグ映画」などというものではない。説明するのも馬鹿馬鹿しいが、「ギャグ」は喜劇を成立させる要素であって、それはシチュエーション・コメディにもスラップスティック・コメディにも存在する。このあたりの用語の間違いも文意をかなり意味不明にしてしまっているのだが、更にアタタなのは、コメディが「映画として奇形にならざるを得ない」というくだりだ。この人はキーストン・コップスからバスター・キートン、ハロルド・ロイド、チャーリー・チャップリン以降のもろもろのコメディアンたちの映画を全て「奇形」と切って捨てる気なのだろうか。見てないからこそこんなことが言えるのだろうが、見ていてこんな発言をしているのであれば、これは相当な阿呆である。全くいったいいくつなんだ。中学生くらいか? この人。 前作『ヤキニクロード』が世間の理解を得られない、というのも、いったいどこの「世間」の話なのだろうか。昔から『クレしん』映画は認めている人は認めていたし、観客動員も決して落ちこんではいない。無知にもちょいと程があるというか、どうも自分の妄想だけでモノを語るタイプのトンデモさんのようである。 映画の歴史も知らず、映画自体もまるで見てないのは、その人がそういう巡り合わせだったのだろうから仕方がないとしても、そんなんでヘタに「映画論」を偉そうに語っているのがお笑いなのである。……にしても、ここまでの馬鹿はちょっと珍しいぞ。どこの馬鹿サイトか紹介してもいいのだが、往々にしてこういう手合いは粘着さんだから、逆恨みでヒレツなことをされてもめんどくさいのでどこかは書かない。 ネットが一般化して以降、こういうぱーぷーな猿言が横行するようになってしまったが、つくづく思うのは「日本にはもう批評は存在しえない」という小林信彦の箴言である。昔は高校や大学などでもクラブやゼミやサークルとかが少しは機能していて、阿呆な意見が飛び出してもセンパイたちからたしなめられていたものだったが、年齢不詳経歴不詳なネットからはそういう機能が全くなくなってしまった。 それはまあ、憂えるべき事態ではあるのだけれども、ネット上の発言は今や全て拡散して、一つ一つの意見は重みを失ってしまっている。こういう馬鹿な意見ばかりではなし、『カスカベボーイズ』に関しては快楽亭ブラックさんや唐沢俊一さんのようにプロの方がちゃんとした批評をしてくださっているので、我々はこういう泡沫猿言を目にしたら嗤ってやってればよいのであろう。 ……でもだからってわざわざ教えてくれなくてもいいんだけどな。
ここんとこ散々イラクの三馬鹿について書いてきたのだけれども、ネットの某掲示板に(^o^)彼らの住所が掲載されて、3人の自宅に大量の中傷の手紙が送られてきたとか(現在は札幌法務局の指導により削除ずみ)。多分その殆どは無記名で送られてきたものだろう。 あそこまでの馬鹿は近年つとに珍しかったから、弱いものイジメが大好きな日本人がいっせいに叩きたくなった気持ちもわからなくはないが、無記名の中傷の手紙は彼らを「被害者」に仕立て上げることになるから全くの逆効果である。批判をするならちゃんと記名入りで反論受ける覚悟でやんなきゃ。こういう「批判の尻馬に乗った中傷」をしたがる手合いは、結局は「自己責任」を果たしてはないわけで、あの三馬鹿以下の糞である。全く、人のことが言えた義理かね。 もちろん、中傷されてるからと言って、彼ら三馬鹿を擁護する気などサラサラないのだが、あれだけ堂々と批判できる相手に対して、何を陰湿な方法を取っているのか、馬鹿じゃねえか、ということなんである。まあこの日記読んでる人で、彼らんちに中傷メールや手紙送った人はいないと思うけれど、もしいたらアンタ糞だから蝿にたかられて死になさい。
仕事帰りに寄った紀伊國屋で買った、DVD『クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望』と『爆発!温泉わくわく大決戦』を見ながら寝る。この映画シリーズもコンテンツに書きたいこといっぱいあるんだけど、書き出したらキリがなさそうだから、手をつけるのが怖いのであった。
2003年04月22日(火) メモ日記/待ちぼうけの夜。 2002年04月22日(月) 全国の○○はみなアホか?/『てけてけマイハート』2巻(竹本泉)ほか 2001年04月22日(日) おしゃべりラブ/DVD『キングコング対ゴジラ』ほか
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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