無責任賛歌
日記の表紙へ昨日の日記明日の日記




ホームページプロフィール掲示板「トーキング・ヘッド」メール
藤原敬之(ふじわら・けいし)

↑エンピツ投票ボタン(押すとコメントが変わります)
My追加


2003年09月03日(水) 不明を恥じるハナシ/『ビートのディシプリン』SIDE2(上遠野浩平)

 今敏監督の『千年女優』、ドリームワークスの配給で、“Millennium Actress”と直訳のタイトルで9月12日から北米で公開される。
 公開自体はインディーズのようだから、たくさんの人が見るというわけにはいかないようだけど、どんな反響があるか、ある意味、『千と千尋の神隠し』以上に気になっているのである。
 なんでもアメリカのアニメ映画関係者の間では評価が非常に高く、『千と千尋の神隠し』に続いて、2年連続で日本アニメがアカデミー最優秀長編アニメ映画賞にノミネートされる可能性まで出てきたそうな。ライバルは『ファインディング・ニモ』ってことになるのかな。
 アカデミー賞というのは多分に会員の政治的姿勢が反映する賞なので、「去年は日本アニメが取ったから、今年は自国のアニメにしよう」という動きが出ておかしくない程度のものである。そういう事情を知ってると、別にアカデミー賞取ったって嬉しくもないよなあ、とか思ってしまうのだが、世間一般のイメージというものはまるで逆である。
 去年の『千と千尋』でも、「日本のアニメが世界に通用するようになった」と、ちょっとでもアニメの歴史をかじったことのある者にとってはひどくトンチンカンな批評が出たように、アカデミー賞が世界最高峰の賞であるかのように錯覚している人間は腐るほどいるのである。だからあれは基本的にアメリカ中心の賞で、ベネチアやカンヌみたいな国際映画祭じゃないでしょうが。何で「三大映画祭」なんて言い方するんかね。
 でも「錯覚」だろうとなんだろうと、評判は評判である。とりあえず作品が売れ、多くの人に見られないことには、評価だって付いてはこないのだ。『クレヨンしんちゃん』がオタク以外に評価されるまでに、いったい何年を費やしたか。
 『千年女優』を私は強く評価はしていないし、どこにどう欠点があるかは以前事細かに書いたこともあるのだが、それとても人が見ていないことには「ふーん」で終わってしまう。「アンタはここがこうイカンと書いたが、私はここがこうイイと思う」という批判だって、まずは作品を見てからでないと言えることではない。評判・実見のきっかけになるのなら、虚飾もまた可としなければなるまい。虚飾を暴くのは、見てもらってからでも遅くはない。
 ああ、でも未見の人にこの映画を見てもらうことを考えれば、もちっと誉めときゃよかったかなあ、ともチラッと思う。でも誉めるときには徹底的に誉めないと興味を惹いてもらえないし、貶すときにも適当にどっちつかずの批判をしちゃうと、「つまんないなら見ないでいいか」と読む人に思われてしまいかねないのである。「ここまで貶すんならかえって興味が湧いたぞ」と思わせるくらいゲキレツに書いた方がいいんだが、どうもそこまで作品を突き放して貶したくはないなあ、という心理がどうしても働いてしまうのだ。
 だから改めて書くけれど、『千年女優』は欠点だらけの作品で、それは決して瑕瑾とは言えない。でも、これは、日本映画がかつて取り上げたことのない題材を扱った作品であることに間違いはない。まずは見るべし。と、これだけは言っておこう。


 『トリビアの泉』第29回、ゲストには伊武雅刀と古手川祐子。これまでで一番華やかなゲストって気もするけど、まあこの番組ではたいした意味はない(^o^)。ああ、この人のツボはこれか、ってとこが分かる場合もあるけど、たいていは「あれ? そう言えばその人出てたよなあ?」という印象で終わることの方が多いし。
 たとえば、伊武さんの場合、「中華料理の回転テーブルは目黒区生まれ」ってネタには「20へぇ」で、「『こめかみ』は米を噛んだとき動くから」には「10へぇ」だったけど、そこまで注意して見てる視聴者ってあまりいないんじゃないかな。こちらは、役者さんはこれくらい知ってるから今更なネタだよなあ、とか思って見てるんだけど、画面に映るのは一瞬だから、そもそも注意のしようもないのである(古手川祐子も9へぇ、タモリは5へぇで、共に一番低い。MEGUMIにビビる大木はやっぱり17へぇも押してやがる)。どっちかと言うと目立つのはいつもかぶってる帽子のほうで、「こないだドラマに出たとき、伊武さん、ハゲてたよなあ、あれ、ハゲ隠しのために剃ってるんだろうなあ」とかなんとかって関心の方が強いんじゃないか(^o^)。
 
 今回、一番高い「90へぇ」を獲得したのは、「111111111×111111111=12345678987654321」というネタ。投稿者は12歳の女の子だけど、算数の参考書のコラムにでも載ってたものだろうか。数字遊びをしてるうちに自分で発見した可能性もあるなあ。私も昔やったから。
 秋山仁さんをわざわざゲストに、計算させてるけど、まああの人ならこういうの大好きだろうなあ。途中、計算を間違えてたのももしかしてわざとだったりして。
 オタクがすぐこの番組のネタを「濃い」「薄い」で判断するのはもうやめた方がいいと思ってるんだが(私は最初から薄いことはどうでもいいと繰り返し書いている)、そう思うのはこのネタなど、その判断基準ではどうにも図れないからなんだね。
 純粋論理の産物である数学としての見地から考えれば、この数字もまたただの結果でしかない。そこには何の思想的、教養的な意味も付与されてはいない。にもかかわらず、この「並びの美しさ」がいかにも意味を持っているように、なぜか我々の脳は錯覚させられてしまうのである。
 まあ、あれっすよ、ピラミッドの底辺だか高さだか、いろいろ掛けたり割ったりしたら円周率が出たとかなんとか、そういうのに「意味」を持たせたがる心理に共通してますかね。
 これ即ち、我々人間が、シミュラクラを喜ぶ感性の持ち主であることを証明しているのである。その点で、このネタこそが「トリビア」の一番の特徴を象徴していると言えるんじゃないかな。

 でも、ほかのネタは演出も含めて相変わらず低調。
 「種」なんか、「日本中で一日に切られている髪の毛の量はどれくらいか?」ってよう、そんなん、いくらサンプル取ったって、計れるわけがないじゃん(正確に、ということではなく概算もムリである)。青山だけ調べたって、曜日や、地域によって、客量の差がこれだけ激しい業界もないんだよ。それを全く計算に入れてないんじゃ、ハナっから話にならないのである。床屋の息子が言ってるんだから、これは絶対だ(^o^)。
 まあ、アホなことやってるなあ、で終わるだけなんだけど、こういうのは、本当にキチンと計算できた方が格段に面白いのに違いないのである。だって、本当に全国津々浦々、スタッフが歩き倒して調べたとしたら、「スゴイ!」とは思いませんか。そこまでやらないのならどんなに汗水垂らしても所詮はただの手抜きだし、「そんなんできるかあ!」と怒るんなら初めからやらなきゃいいのである。中途半端なのが一番みっともない。
 種も最近はたいしたのがないし、視聴率高いわりにネタの提供者は少ないのかなあ。

 チャットであやめさんが、「今回のネタも殆ど知ってた〜」とブー垂れておられたが、「動物園では逃げ出した動物の捕獲訓練を着ぐるみで行う」というネタ、どこで仕入れてたんだろう。VTRで流れてたの、何年か前の映像で、しかも全国どこででもしょっちゅうやってるわけではないって説明もあったのに(上野動物園と多摩動物園が一年置きにやってるそうである)。私ゃこのネタだけは今回初めて知ったんだがなあ、もしかしてあやめさん、見に行ったことあるのかな(^o^)。


 上遠野浩平『ビートのディシプリン』SIDE2(メディアワークス/電撃文庫・645円)。
 統和機構の合成人間ピート・ビートが受ける「ディシプリン(試練)」の第2章。今回は彼の封印された過去が回想形式で挿入され、現在の時間軸と交錯しながらストーリーが進められていく。
 ビートがかつて、モ・マーダーと協力して救い出した金髪の少女、ザ・ミンサー。彼女にどんな運命が待ち受けているかは、ごく最初の段階で見当がつく。にもかかわらず、というよりだからこそ、ビートの「苛酷な試練」が、運命的なものであることが全編をおおうムードとして流れる効果を作り出している。
 現在、ビートの抹殺を図ろうとするバーゲン・ワーゲンとの闘いは、「人間戦闘兵器」ダイアモンズのジィドの協力をもってしても苛酷を極めるが、なぜ彼がそこまで追いつめられなければならないのか、それは彼が失ってしまった記憶ゆえにであることを、我々読者は最後の最後で知ることになる。
 こういう構成を取らせたらホントに上手いんだよ、上遠野さん。
 でも気になるところが全くないわけでもない。第1巻で、確か、「ブギーポップは出さない」とか言ってなかったっけ。あくまで回想シーンでの出演だから整合性はちゃんとあるんだけど、ちょっとテコ入れかな? と思わないものでもない。「ウソつきだ!」とか言って怒るほどのことはないんだけど。
 それよか、霧間凪まで登場させたことのほうがやりすぎだったんじゃないか、とやや疑問に思う。なんとなれば、この作品が『ブギーポップ』の「外伝」としての位置しか占めないのであれば、結局彼女も「通りすがり」以上の役割は果たせないことが予測されてしまうからだ。いかにも統和機構の尻尾をつかんだ、みたいな登場のさせ方しても、最後が尻すぼみになったんじゃしょうがないしね。さて、出したはいいものの……という展開にならないことを切に祈るよ。

2001年09月03日(月) 変わるわよ♪ ……何がだよ/アニメ『こみっくパーティー』第1話ほか
2000年09月03日(日) 警察も役所/『ら抜きの殺意』(永井愛)ほか



↑エンピツ投票ボタン
日記の表紙へ昨日の日記明日の日記

☆劇団メンバー日記リンク☆


藤原敬之(ふじわら・けいし)