無責任賛歌
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3月2日の日記の続き。 ここから3月3日の日記。 そう言や、今日って雛祭りだな、全く意識になかったが。 飛行機の時間を考えて、5時に起床、6時にホテルをチェックアウト、の予定だったが、準備に手間がかかって6時半に出る。しげがまたいつものごとく焦って「間に合うかな、間に合うかな」を連発するが、これでも時間的には充分なんである。だからどうして8時半出発の便に、6時半に渋谷を出て間に合わないと考えるかな。 夕べ寝たのが12時くらいだから、5時間くらいしか寝ていない。 飛行機の中では行き同様、爆睡。機内ラジオの落語もクラシックも聞かず、『ちびまる子ちゃん』も見ず。昔はこれが旅の醍醐味の一つに感じてたんだがなあ。 福岡に着くと、今度はこちらが雨。急に冷えこんできて、飛行機から降りるなり、慌ててトイレに走る。ところが、ロビーから出口のトイレまでの距離がひたすら長い。走って走って走って、やっとトイレに飛びこむ。軽く200メートルはあったのではないか。 しげを置いてけぼりにした格好になったので、追いついてきた時の恨みがましい顔といったら。けれど、狭いトイレにゃ兄弟も夫婦もないのである。 バスを待っても時間がかかりそうだったので、タクシーで帰宅。ゆっくり旅の疲れを癒したいところだが、しっかり午後から仕事なのである。 やっぱり東京に行くなら、三連休とか、そういうときじゃないと、ごっつしんどいですわいなあ(疲れて言葉もオカシクなっているのである)。 お出かけしてたんで、その間にありゃりゃと言いたくなるようなニュースがいくつか。 まずは、2月28日に東京地裁で判決がおりた「ウルトラマン」訴訟について。 円谷プロが、タイの映画制作会社チャイヨープロの会長、サンゲンチャイ・ソンポテ氏を相手取って、著作権の確認などを求めたんだけれど、「著作権は円谷プロに帰属する」と認定しておきながら、27年前に当時の円谷プロの先代社長(皐さんだよ……)とソンポテさんが結んだライセンス契約は有効だってことで、「日本国外ではソンポテさんに独占利用権がある」って判決をしたんだって。それって、著作権の意味がないじゃん(-_-;)。 ああ、当時の様子が眼に見えるようだよなあ。 胡散臭いタイ人の(きっと顔は黒く塗っているのだ)シャチョーさんが「たいデーハ、うるとらまん、大人気デース。映画一本、作ッテ、たいノ子供タチニ、見セテアゲテクダサーイ」なんてアヤシイ日本語で喋りかけるとさ、皐さんがニコニコ嬉しそうに「タイの子供たちのために作りましょう」なんて言っちゃうんだよ。 「映画、うるとらまんダケデハサビシイデース。たいニハ、はぬまあんイウまんがカ……ジャナクテ、スクイノひーろーイマース。映画ニはぬまあん出シテクダサーイ」 「いいですよいいですよ」 「はぬまあんノ人形、子供タチノタメニ作ッテ売ッテアゲタイ、オモイマース。ケレド、はぬまあんダケデハサビシイデース。うるとらまんノ人形モ、イッショニ売リタイデース。イイデスカ?」 「いいですよいいですよ」 「たいノ子供タチ、ミンナビンボーデース。つぶらやサンニオカネハラッタラ、人形ノネダン、タカクシナイトイケマセーン。子供タチノタメニ、オカネトラナイデクダサーイ」 「いいですよいいですよ」 「デハココノトコロニさいんシテクダサーイ。コマカイトコロ、目ガワルクナルカラ、読ンジャイケマセーン」 「いいですよいいですよ」 とかこんな感じだったに違いないのだ。おのれタイ人。山田長政の恨みをまだ忘れてなかったか。 それにしても円谷さんとこって最近トラブルが多いよなあ。ウルトラシリーズ以外の財産が殆どないとこだから、今度の判決は相当痛いに違いない。裁判官何考えてるんだ。お前だってウルトラシリーズ見て育って来たんだろう。あれのどこにタイ人の権利が生じるってんだ。詐欺を見逃して、それで法律家と言えるか。円谷を潰したいのか、こんちくしょう。 ……と私が怒ったってどうにもなんないのである。今度の映画が終わったら、円谷さんとこ、どうなっちゃうんだろう。次の企画、ちゃんと立ってるんだろうか。 これも随分、旧聞に属する話であるが、私は今知ったんだから仕方がない。 しりあがり寿原作・庵野秀明監督の短編映画(実写だ)『流星課長』が、1月31日から2月8日までの9日間にわたって行われたフランスの「クレモン-フェラン短編映画祭」で、デジタルワーク部門のCANAL+AWARDを受賞したというニュースである。 私もこういう映画祭があるってこと自体、初耳だったのだが、この映画祭、決してレベルの低いモノではなさそうである。世界60ヶ国以上から1500本以上の作品が参加しているとのことだから、庵野監督、充分誇ってよいのではないか。 けど私、見たい見たいと思ってたのに未だに見られないのよ、『流星課長』。いつどこで上映してたんだ。公民館でも回ってたのか。 その前の『式日』も東京と山口でしかやらなかったから見てないんだよねえ。あと確か、自衛隊の戦闘機かなんかのドキュメンタリーの監修みたいなことも庵野監督はやってたと思うんだけど、そういうのも殆ど世間じゃ知られてないよなあ。 庵野さん、『エヴァ』以降は、自分の仕事が世間に露出するのをあえて制限してるような感じがするんだが、さて、いったいどういう意図でやってんだろうか。 『エヴァ』のころはあれだけテレビアニメに拘ってたのが、『カレカノ』で途中リタイアして以降は、急にマイナー路線に行っちゃったのは、結局、どんなヒット作を作ろうと、アニメや特撮を認めない人間は決してその考えを改めない、という悲しい現実に嫌気がさしちゃったんじゃないかという気もする。 実際、新聞やテレビ、雑誌などのメディアは、もう「今の」庵野監督の動向になんか全く目を向けてないんじゃなかろうか。ネットをあっちゃこっちゃ散策したからこそこういうニュースもなんとか入手できるんだが、新聞読んでるだけじゃあ、多分、こんなこと知らないままで終わってたろう。もう新聞なんか一次資料としての価値は10年前、20年前に比べて、著しく低下してるんである。 新聞もテレビも、自分たちがメディアの王様みたいな顔してると、自らのプライドのせいで潰れることになっちゃうかもよ。 更にも一つ、こっちはいかにも眉唾なニュース。 『ルパン三世』のハリウッドでの実写映画化権を、『シンドラーのリスト』のプロデューサー、ジェラルド・R・モレン氏が取得して、「米国でヒット作にする」と意気込んでいるんだとさ。 確か、何年か前にも、ジム・キャリーが主演するとかいうウワサがなかったか? 「映画化権取得」だけじゃ、実際の映画になるとは限らないって事実を、悲しいかな我々は何度となく見聞きしてきているのである。 こういう「先走り」情報がリークされるマンガ家ってのにはある種の傾向がある。言っちゃなんだけど、「かつて大ヒットマンガを生み、今はその遺産だけで食ってる」人たちね。松本零士とか永井豪とか。作品を描いてないわけじゃないけど、とても「作品」と言えるようなものは生み出せなくなっている。かつては熱心なファンだっただけに、その敗残ぶりがもう悲しくってねえ。 仮に本当に『ルパン』が実写化されるとして、それを喜ぶファンがどれだけいるんだろうねえ。だいたいハリウッドで映画化って、ルパンは何人になるんだ? わざわざフランスの役者を連れて来るのか? 次元や銭形、不二子はアメリカ人に変えられるのか? さすがに五右衛門を外人に変えるのはムリとしても、英語は喋らせられるんだろう。となると演じるのは誰になるんだよ、ショー・コスギかケイン・コスギかソニー・チバか藤岡弘か。『ラスト・サムライ』がヒットしたら真田広之ってセンもあるよな。 で、面白くできるのかよ。原作者が喜んでるらしいのがねえ、どうにもねえ、逆にプロデューサーとか名乗ってるやつから何やかやと搾取されちゃうんじゃないかって気がして仕方がないんだけどねえ。いや、このモーレンさん、一応『シンドラー』や『マイノリティ・レポート』なんかのプロデューサーだってことは事実なんで、あまり疑っちゃ悪いんだけれど、日本人はジェフ・シーガルって山師にまんまと騙された過去があるからねえ(^_^;)。 ま、話半分に聞いとくのが無難じゃないかね。 最後に「なんだかなあ」なニュース。 復縁を拒んだ女性を、「セーラー服姿で駅に来い」などと言って脅した容疑で、奈良県警は1日、大阪市の無職、水野勝正容疑者(24)を逮捕。 記事を読んでもどうもよく経緯がわからないんだが、この男、去年の夏ごろからつきあってた22歳の女性から別れ話を切り出されて逆上し、先月の2月25日に「オレと別れるんなら家に火をつけるぞ、それがイヤなら、明日の朝、セーラー服を着て三郷駅に来い」と電話して、26日にその女性を無理やり呼び出したんですって。まあ怖い(いろんな意味で)。 もちろん女性はセーラー服を着ていったのである。 学生時代の着て行ったのか? よく持ってたよなあ。 いや、そうではなくて。 22歳でセーラー服って、回りからヘンな目で見られて恥ずかしかったろうなあ。それともまだまだ充分女学生に見えるタイプだったんだろうか。 いや、そういう問題ではなくて。 じゃあ、どういう問題かと問われると全く困っちゃうんだが、この男がどういう意図で女性にセーラー服を強要したのか、その真実は本人に聞かない限りわからんことなんだが、でもやっぱり世間は圧倒的に、その目的からこいつの精神的背景に至るまで、勝手に「こうだろうな」と想像すると思うんである。そんなふうに思われてもよかったのかよ犯人。 というか、やっぱりそれがアタリなんだろうなあ。 もう、捕まったあとの恥なんて考えてないのである。ともかく男の心にはセーラー服しかないのである。ブレザーでも看護婦の白衣でもスッチャデスの制服でも靖国神社のあたりをよく通りがかっている九段幼稚園の女の子の制服でもダメなんである。そういうシュミがもう、天下に余すところなく晒されちゃったのである。 ……既にもう罰を受けているよなあ。 いや、別に赦してあげなよって言いたいわけじゃないんですが、ここしばらくで一番「人生って悲しいね」と思わされた事件でありました。 2002年03月03日(日) ぼくらの7時間戦争/ドラマ『シャドウ商会変奇郎』/『真・無責任艦長タイラー外伝 LOVE&WAR』1巻(吉岡平・森小太郎)ほか
☆劇団メンバー日記リンク☆ 藤原敬之(ふじわら・けいし) |