無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年11月01日(金) そう言えば「丹」ってのも何だか知らない/舞台『空飛ぶ雲の上団五郎一座 アチャラカ再誕生』/『聞く猿』(ナンシー関)ほか

 福岡の岩田屋が伊勢丹に売却されたのに続いて、経営破綻していた旧小倉そごうにも伊勢丹グループが後継テナントとして入ることになりそうだと言う。元気がいいなあ、伊勢丹。伊勢の人間に九州人が負けるってのはちょっと業腹で(とかなんとかテキトーなこと書いてるけど伊勢丹って地元はどこだ。「伊勢」ってついてるから勝手にそう思いこんでたけど、ホントに伊勢か。もしかしたら「伊勢」って人の名字かも)地元ビイキの身としてはちょっと悔しくはあるのだが、無理な経営してた様子は傍目から見てもハッキリしてたから、今更どうにもしようがない。
 老舗の百貨店(あまりデパートって言葉、ピンとこないのよ)の経営破綻を聞くたびに思うのは、こいつら「企業努力」って言葉の意味、なにも考えてないんじゃないかってことだ。
 不況なんだよ、今。しかも戦後未曾有の。
 薄利多売じゃなきゃ客が来ねえってこたぁ、サルでもわかりそうなもんだ。
 それをなんでまた、こんなん誰が買うんだって高級品ばかり並べてやがるかねぇ(この場合の「高級品」というのは、例えばスーツだったら2万円以上のレベルである。自慢じゃないが、ウチにあるスーツで2万を越してる服なんて、一着もないぞ)。
 岩田屋とそごうはその点でよく似ているのである。見た目は確かに派手なんだけど、中にいても庶民には買うものが全くないのだ。庶民がモノ買おうってときには千円二千円、へたすりゃ百円二百円の単位で買うか買わないか迷うって感覚が、岩田屋やそごうの経営者たちにはないのな、基本的に。
 そこんとこがわかんない限り、伊勢丹が入ろうが状況は変わらんと思うのだが、駅前の一等地にあるってえのにそう何度も百貨店潰してたら、街そのものがさびれてくぞ。いいのか小倉人。


 CSキッズステーションで『プリンセスチュチュ』12.AKT「闇の宴」。
 よく見るとサブタイトルに“Sheherazade”とあるが、これはリムスキー・コルサコフのオーケストラ曲から(と言ってもパッとメロディーが浮かんでこない。私のクラシックに関する知識なんてこんなもんだ)。
 もちろんその名はアラビアンナイトの語り手、シェヘラザード姫のこと。「卵の章」もあと1話ってことで「お話の本当の語り手は誰?」って意味でつけたサブタイトルなのかな。それは果たしてプリンセスチュチュかクレールか。

 ドラマは一気に畳みかけるように展開、これまで秘密にされてきた事実が登場人物たちの前に次々と明かされていく。るぅはあひるとふぁきあの目の前でクレールに変身して見せ、ショックを与える。
 再び心を失ってしまったみゅうとを連れ去ったクレールを追って湖へ向かったふぁきあは、自分になついていた鳥のあひるが人間のあひるであり、プリンセスチュチュであったことを知る。
 そして全ての謎が結末に向けて流れていくのを心の底から楽しんでいるドロッセルマイヤー。彼に「エル・ドロッセルマイヤー」と呼びかけ、「舞台」を用意させるクレールの真の意図は何なのか?

 盛りあがって来てるなあ。\(^^\) (/^^)/ア、ソレソレソレソレ
 クレールが登場してきてからはそのカッコよさ(セクシーだけどいやらしくなくて凛々しいのよ)にシビレてたのだけれど、それに対抗してか、今話ではついにあひるもヌードをご披露。いや背中だけだけど、ただの清純派ではなかったのだね(* ̄∇ ̄*)。なんたって今話は鳥のあひるの姿からして色っぽいくらい作画にリキが入っている。
 可愛い絵柄でスマートな線だけれど、どんな清純なキャラにもセクシーな魅力を醸し出してる伊藤郁子のキャラデザインは、もっと評価されていいと思うな。心をなくしてるときのみゅうとなんて、完全にジュネの世界のキャラだし。
 私やしげはムチャクチャ盛り上ってるのだけれど、なにしろCSでの放映だから、世間の反応はそれほどでもないようで残念だ。見てる人がいればあちこちに宣伝してほしいくらいなんだけどねえ。
 DVD発売のニュースもまだ流れない。出れば絶対買うのになあ。特典映像を作るのに手間がかかってるのだろうか(^o^)。


 WOWOWで舞台『空飛ぶ雲の上団五郎一座 アチャラカ再誕生』を見る。
 ちょっとWEBサイトに載ってた紹介文を引用してみよう。

 日本演劇界を代表する喜劇作家陣が集結。強力タッグを組んで新しく一座を旗揚げした!「東京ならではの笑い」を目指し、いとうせいこう、井上ひさし、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、筒井康隆、別役実といったそうそうたる人気喜劇作家達が脚本を書いた「空飛ぶ雲の上団五郎一座」。東京・ラフォーレミュージアム原宿で行った、たった5回の公演から8月25日のステージを放送。'69年にイギリスで生まれたコメディ番組「空飛ぶモンティ・パイソン」的不条理テイストと、榎本健一(エノケン)や三木のり平が作りあげた昭和の東京喜劇の「アチャラカ」のスタイルを合体。21世紀の新しい笑いとしてステージに復活させた。ちなみに「雲の上団五郎一座」とはエノケンが座長の東宝アチャラカ喜劇の傑作舞台だ。
 出演する俳優陣も豪華! 劇作家の三谷幸喜をはじめ、くりぃむしちゅー、YOU、住田隆、中村有志、深沢敦などが登場。アドリブ満載のドタバタ劇でありながら、緻密な計算と高度なセンスが要求されるクオリティの高いステージが繰り広げられる。コントと演劇の要素が混在した新しい笑いは見逃せない。

 まあ全然つまんなかったとまでは言わないが、この「新しい笑い」って惹句、やたら使われてるけど、コントも演劇も伝統の上に成り立ってるものだし、ましてやアチャラカなんてもう何十年も前の過去の遺物なんだけど。温故知新とでも言いたいのかね、この解説氏は。
 「喜劇」が滅びることはないが、「アチャラカ」は滅びた。
 それは「アチャラカ」が時代と風土に拠って立つものだったからで、恐らくそれは昭和45年のエノケンの死とともに滅びたのだろう。ほんの数年前まで、三木のり平や由利徹は生きていたが、散発的なものではあえて「アチャラカ」と呼ぶこともなかったし、彼らの芸をそう認識している人間もいなかった。
 私は舞台『屋根の上のバイオリン弾き』で、森繁久彌と益田喜頓の「アチャラカ芸」の片鱗を「見た」が、だからと言ってあの芝居をアチャラカだとは誰も呼ぶまい。そういうことである。
 「滅びた」ものは、「再誕生」もしない。「アチャラカ再誕生」なんて意気込みは評価してもいいけど、結局はごく普通の「ちょっと笑えるかも? なコント」がそこにあるだけである。
 頭に「空飛ぶ」をつけたのはモンティ・パイソンを意識してるのだけれど、どうしてこう、借り物ばかりしてきますかね。しかもどこがモンティ・パイソンなんだかよくわかんないんだもん(-_-;)。

 エノケンの舞台『らくだ』を私は当然見ていないが、今に残るスチールのほうが、今回の『らくだ』よりもはるかに面白そうに見えるんだよね。役者がみんな突っ立ってるばかりで体技が伴っていないのだ。喜劇役者の体技ってのは「こいつが次にどんな動きをするか」ってのを期待させなきゃ話にならんのだよ。
 役者がみんなダブルテイクを見せるところも(あの、一度ものを見てそのときはやりすごし、もう一度見て驚くというやつね)、明らかにヘタクソな三谷幸喜のヤツにまで観客が笑うのを見てると、アチャラカだけでなくて客も死んだのだなと思わざるを得なくて、情けないを通り越して自殺したい気分になってくる。
 なにがヒドイって、役者としては相当ブランクがあるはずの三谷幸喜が、現役であるくりぃむしちゅーより遥かに上手いのである(-_-;)。キュリーに扮した三谷幸喜が「なんでオレのことをキュリー夫人のご主人って呼ぶんだよ! おかしいだろ!?」と叫ぶシーンは確かに三谷幸喜が演じているからこそ笑えた。……この脚本はいとうせいこうさんじゃないかなあ(っつーか笑える脚本は全部いとうさんじゃないかって気がしてくる。明らかに筒井康隆作と思える『アルカイダの伝令』は全く笑えなかった)。
 ともかく役者の芸の質に落差がありすぎるのが見ていてツライ。見られるのはいとうせいこう・中村有志・深沢敦くらいのもので、あとはシロウトに毛が生えた程度。本気で喜劇をやろうと思うのなら、「自分の肉体をどう見せるか」ってことくらいは考えてほしいもんだ。
 あ、あと美術にしりあがり寿さんやなんきんさんが参加してたな。でもあまり印象に残りませんでした(^_^;)。


 ナンシー関『聞く猿』(朝日文庫・546円)。
 『小耳にはさもう』シリーズの第3弾。
 ご本人が「ケビン・コスナー似なかった。スマン」と謝ってるが、大丈夫。他のも全然似ていない。大槻キョージュと橋田壽賀子がおんなじ顔にしか見えないし、多分名前を隠して人に見せたらそのうち半分は「これ誰?」ってことになると思う。消しゴム版画なんてアホなことやる人、他にいなかったからよかったけど、普通の版画だと思って見たら中学生の作品と変わんない。ナンシーさんのコラムは好きだが、版画技術まではちょっとなあ、というのが私の印象なのである。
 そう言えばたくさん彫ったであろう消しゴム、今はどうなっているのだろうか。劣化が激しかろうから保管には手間がかかると思うのだけれど。

2001年11月01日(木) ヒミツな情報/アニメ『ナジカ電撃作戦』4話/『クラダルマ』5・6巻(柴田昌弘)
2000年11月01日(水) 夢で他の女と会うのも浮気なんて言うなよ/『文鳥』(夏目漱石)ほか



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