無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年10月28日(月) また上京……?(゚゚)/DVD『刑事コロンボ 魔術師の幻想』/『スパイラル 推理の絆』1〜3巻(城平京・水野英多)ほか

 ここしばらく、しげが迎えに遅れることはなかったのだけれど、駐車場に行ってみると車が見えない。携帯に連絡を入れると「きつくて起きれん」とのこと。
 仕方なく、ミニストップで弁当を買って帰る。もちろんしげの分も。もちろんしげは「ありがとう」のヒトコトもなくただそれを食らうのみなのである。
 何で感謝のコトバ一つ出ねえんだ、と聞いたことがあるが、しげはそれに対して「『ありがとう』なんて負けやん」と答えた。つーことは黙って「搾取」することが「勝ち」か。昔の資本家よりタチが悪いよな。
 なのに私ゃせっせとエサを運んでやってんだからなあ。羽までむしられた親鳥の気分よ、全く(´。`;)。


 DVD『刑事コロンボ 魔術師の幻想“NOW YOU SEE HIM”』。
 原語タイトルは、奇術師が姿を消し、再び現れた時の掛け声から。
 今回の犯人、魔術師ロベルト“グレート”サンティーニは、明らかにハリー“脱出王”フーディーニをモデルとしていて、彼が実際に行った水中脱出術を再現して見せる。その正体が最後に暴かれるラストとも相俟って、このタイトルは実に秀逸である。邦題もコロンボの「完全犯罪なんてアンタの幻想だよ」というセリフに基づいているのだけれど、ややインパクトが弱い。でも「さあ、現われました!」じゃあ、タイトルにならないし、しゃあないか。

 DVDでコロンボを見る時には必ず英語字幕を見るようにしている。これだと日本語訳がいかに苦労をしているか、たまに誤訳をしているかがわかって楽しい。これはテレビ放送だけでは味わえない楽しみである。
 今回登場のフレデリック・ウィルソン刑事(と訳されてるが、原語は“sergent”だから巡査部長)、英語では「ジョン・J・ウィルソン」。すわ誤訳か、と言えばさにあらず、実はこのウィルソン刑事、『悪の温室』に続いての再登場なのだが、そのときは「フレデリック」という名前だったのだ。オリジナル版のミスを日本語訳で訂正してあげたと言うわけ。ウィルソン刑事を演じてたボブ・ディシーも、自分の役名を忘れてたんだろうな(^o^)。
 『悪の温室』の時にはコロンボのむさくるしい風体を見て対立していたのに、今回はすっかりコロンボに心酔していて、「コロンボ警部は完全主義者だからな!」とベタベタベッタリ、やたら根回ししまくるのがおかしい。コロンボの相棒と言えばクレイマー刑事が印象深いが、そこまでベッタリしてない。どっちかというと「また細かいことに拘って」と呆れられてたりしてるから、コロンボのロス警察での立場、余り高くないのかも。

 今話には珍しくもコロンボの声優、小池朝雄に大きな勘違いがある。
 ラスト、サンティーニが観念して述懐する時のセリフに対するコロンボの応答である。

 サンティーニ「私には自信があった。完全犯罪の……」
 Santini:“And I thought I'd performed the perfect murder.”
 コロンボ「完全犯罪? お気の毒ですが、完全犯罪なんてものはないんだよ。それこそあなたの幻想ですよ」
 Columbo:“Perfect murder,sir? Oh,I'm sorry.There is no such thing as a perfect murder.That's just an illusion.”

 で、問題なのは次のコロンボのセリフ。
 「頼むよ」。
 さて、コロンボは何を「頼んで」いるのか? 小池さんの演技は、サンティーニに向かって「いい加減にしてくれよ」とでも言いたげに呟いている。つまり「完全犯罪が可能だなんてばかげたことは言わないでくれよ」という意味に解釈していることがそのセリフ回しから見て取れるのである。
 ところが原音で聞くとわかるのだが、実はコロンボはここで、サンティーニの「後方」に向かって怒鳴っているのだ。

 Columbo:“Officer.”

 ……なんのことはない、この「頼むよ」というのは、ラストでのコロンボのいつものセリフ、巡査を呼んで犯人を連行するように命令しているだけだったのだ。シナリオの訳も当然そのつもりだったのだろうが、声を当てた小池さんが、コロンボの目線を勘違いして、サンティーニに向かって言ったものだと思っちゃったのだろう。
 でも、この「勘違い」のほうがいかにもコロンボっぽく思えるから、意外にこれは怪我の功名ではなかったろうか。原音のコロンボは小池版より冷徹である。

 もう一つ、特撮ファンにはニヤリとできる趣向が一つある。
 サンティーニを演じているジャック・キャシディ、彼はコロンボシリーズに『構想の死角』『第三の終章』に続いて三作出演しているのだが(惜しくも寝タバコで焼死して、本作が遺作)、三作とも声をアテているのは「田口計」である。
 で、今回のキャシディは奇術師役で、しかもその得意技は「水中脱出」だ。
 これでピンと来なければ、特撮ファンとは言えまい。♪(((#^-^)八(^_^*)))♪
 そう、『怪奇大作戦』第一話『壁抜け男』で、脱出王と呼ばれた奇術師、キングアラジンを演じていたのが田口計なのである。偶然の符合ではあるが、「コロンボVSキングアラジン」の対決と思うと、なんとも楽しいではないか。
 これが当初予定されていたキャスティング通り、サンティーニ役をオーソン・ウェルズが演じていたとしたら、日本人にはあまり面白くなかったことだろう(トシ食って太ってからのウェルズは、随分大根になっている)。特に熊倉一雄あたりに吹替えられた日にゃあ……。
 

 夜、東京のこうたろうくんへ電話。
 掲示板に豊島区が江戸川乱歩展を開く予定だという報せを書いてくれていたので、その詳細を聞いてみたのだが、ファックスで送ってもらった今朝の読売新聞の記事にも、「来年1月下旬から2月上旬にかけて約十日間」とあるばかりで、詳しい日程や会場は書かれていない。
 区のやることだからショボイんじゃねーかとも思うが、それでも「貼雑年譜」を展示、なんて書いてあると心もそぞろになるのをおさえきれない。乱歩ファンなら先刻承知、乱歩自身が自らの経歴を新聞記事や批評文などを貼り付けていって作成した「自伝帖」であり、今までに出版されたことはたったの二度、しかも何冊もあるうちのほんの一部でしかない(廉価版を私は一冊だけ買った)。どの程度見せてくれるのかなあ。めくって読めるようにしてくれてたら嬉しいんだけど無理だろうなあ。
 乱歩が撮った8ミリビデオの上映もあるそうだ。映画・演劇にも並々ならぬ興味を示していた乱歩がカメラに飛びつかなかつたはずはないが、これも一部が『知ってるつもり』や『西田ひかるの痛快人間伝』などで一部が紹介されたことがあるに過ぎなかった。ウウウ、みたいぞ、くそう!(T∇T)
 「また上京するかい?」とこうたろう君は悪魔の誘いをしかけてくる。でも、今度はしげも連れてかないと、帰宅したら家の中の本とDVDが全て燃されているなんて事態になりかねないのだ(◎_◎;)。しげとの休みの予定は合うかなあ、オタクアミーゴスの公演も間近だしなあ。なによりボーナスカットのウワサもあるしなあ(^_^;)。事態は予断を許さないのであった。


 今日から始まった『BSマンガ夜話』、第一夜は『最終兵器彼女』。
 後半どんどん「マンガで描かれた詩」みたいになっちゃって、殆ど読まなくなっちゃってたし、アニメも斜め見だったんで結末がよくわかんなかったのだが、やっぱりあれ、最後は地球上にたった二人だけって話だったのか。
 「究極のラブストーリーを描こうと思ったらどうしてもそうなる」って話が出てたけど、他にも手はある気はするけどなあ。「二人だけの世界」という意味では心中と変わらんよ。回りが死んでるか自分たちが死んでるかの違いでしかない。愛の物語を描くのに後ろ向きな姿勢でいるのはどうもね。


 マンガ、城平京原作・水野英多作画『スパイラル 推理の絆』1〜3巻(エニックス/ガンガンコミックス・各410円)。
 この作者、二人とも女性だろうか? なんとなくそれっぽいんだけど。
 城平さんの『名探偵に薔薇を』は途中まで読んでたけど、どこか本の山に沈んでるな(^o^)。だもんで、原作のみの担当とは言え、一部にカルトな人気を呼んでるらしい城平さんの作品に触れるのはこれが初めてである。
 某掲示板でもアニメ版が散々からかわれてるので、こりゃ読んでみなけりゃいかんよなあ、と思ってとりあえず三冊買ってみたけど……。
 うーむ、まず作画が新人さん(っつーか見るからに同人上がり。『ガンガン』だものなあ)なせいもあるだろうけれど、デッサン狂いまくりの絵のせいでちょっと損してるよ、このマンガ。
 確かに、ストーリーやトリックについて突っ込もうと思えばいくらでも突っ込めるけれど、作画に力のある人が関わってたら、もちっと「誤魔化し」が利いたのではないか。
 たとえば、例の竹内理緒が「肋骨がないのを爆発で誤魔化す」というトンデモナイトリックである。死なない程度に爆発させるなんて、そんな調整が利くもんかい、という突っ込みはとりあえず置いといて、問題はそんな自殺行為を断行できる心理に、どれだけの説得力を与えられるかだ。
 恐らくは「ブレード・チルドレン」という存在そのものに、そんなことをさせるだけの「根拠」が秘められているのだろうけれど、今のところその謎が明かされる様子はないから、キャラクターの「演技」によって読者を納得させる必要が生じてくるのだ。
 ……アニメ絵じゃムリだよ(-_-;)。いや、役者だってシリゴミするわい。
 こういうバカトリック(貶し言葉ではない)は、そのままストレートに描いてもバカバカしくなるばかりなので、成立させるためには、例えば世界観そのものを「歪ませる」ような手練手管が必要になるのだ。泡坂妻夫や森博嗣はそこに一番腐心している。「ブレードチルドレン」という設定がいかにもこの世界の「歪み」を象徴しているようではあるが、いかんせん、まだそれが何なのかはわかっていない。
 けれどその謎が気になるほど絵に魅力がないことがやはりネックなんだよねえ。多分アニメ版はこのヘタレな絵を修正してくれてるだろうとは思うけれど、だからと言って、どれほどの説得力が生まれるものだろうか。やはりこれは、マンガネタではなくて小説向きのネタなんじゃなかろうか。

2001年10月28日(日) 至福の休日/アニメ『サイボーグ009』第3回『閃光の暗殺者』/『碁娘伝』(諸星大二郎)ほか
2000年10月28日(土) AIQってボランティアだったのね/CGアニメ『バグズ・ライフ』



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