無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年08月16日(金) ドリンクバーの果てに/『フラッシュ!奇面組』1巻(新沢基栄)/『永遠のグレイス』(川崎郷太・伊藤伸平)ほか

 夜中にしげの寝部屋で平積みにしていた本がなだれを起こしたらしい。
 何となくしげの悲鳴を聞いた気はしたが、特に助けを求められなかったので、そのまま寝る。睡眠時間はできるだけ確保しておかなければ、カラダが持たん。

 今日は午前中だけ仕事。
 おかげでしげは昼日中に迎えに来なければならず、数時間しか眠れずイライラしている。けれど、昼のうちに片付けなきゃなんない用事があったんで、多少の無理は承知で、しげにがんばってもらうしか仕方がなかったのだ。
 というのは、役所の手違いで、固定資産税が二重に引き落とされて、マジで金欠病に陥ってしまっているのだ。このン万円を取り戻さねば、今月、給料日までの日々を暮らしていけない。
 一週間ほど前に役所に電話連絡して、銀行振込を頼んでいたのだが、役所仕事が迅速なわけもなく、未だに入金がないのである。と言うわけで、区役所に直談判に行くために仕事を半日、休みを取ったのである。
 役所の駐車場にしげを待たせて、窓口まで行くと、やたら書類を書かされて、20分ほどかかって、やっとお金を返してもらえる。しかし、役所のねーちゃん、一見物腰が柔らかいんだけれど、「すみませんでした」の一言もないのな。さすが公務員、よく教育されてるじゃないの(--#)。

 その足でキャナルシティを回り、盗まれたしげの手帳などを物色。気に入ったものがなかったらしく、しげまた落胆。
 いつもの食事をどうしようか、という相談、「ジョイフル」にドリンクバーが出来たというしげの言葉を信じて、家の近所の店に行ってみたが、ドリンクバーなんて影も形もない。どうやら店舗によって設置の時期にズレがあるらしい。

 ドリンクバーを諦めきれないしげ、夜もまた、別店舗の「ジョイフル」まで足を伸ばす。
 こちらはドリンクバーがありはしたのだが、なぜか偶然、知り合いが大挙して食事に来ていて、話し掛けられてうるさかったのだった。私はそういうときでも適当に相槌打ってその場を取り繕えるのだが、問題なのはしげである。しげは私の知り合いでも面識がないと挨拶一つ出来ない。挨拶を促しても、ムッツリして愛想がないこと夥しい。
 「奥さん、遠慮してるんだ」と、相手がかえって気を遣ってくれるのだが、それに対しても返事を返さない。しかたなく、私の方が「気後れしやすいんだよ」とフォローを入れるのだが、人付き合いという点を考えるとちょっと困りモノなのである。だからと言って、しげの対人恐怖症は年季が入っているので治る見込みがほとんどない。一旦知り合いになれば、人一倍お喋りもするのだが、ほんの少しでも心にワダカマリがあると、全く話せないのである。
 実は私の両親ともしげはマトモに話せなかった。声をかけられれば返事はできるのだが、自分から進んで声をかけるには、心の中で相当シミュレーションをしないと出来ないのだ。父には「猫かぶってるんだよ」と弁明しているが、そうではないことを父も感じているようである。
 いつぞやの某オフ会でも、見知らぬ人間に囲まれて気分が悪くなり、そのあと泣きじゃくっちゃったくらいである。これはもう、世間の人々にしげはそういうやつだと納得してもらうしかないのだ。

 冗談ではなく、しげの精神年齢は小学生並ですので、人見知りするのも許してやってください。で、しげと出会った方は、できれば声をたくさんかけるようにしてください。多分それでも失礼な態度をとっちゃうとは思いますが、しげはあなたがたのことを嫌っているわけではありません。適切な対応をしようと思うあまり、かえって何かドジを踏むんじゃないか、失敗するんじゃないかとプレッシャーを感じて身動きが取れなくなっているだけなのです。


 『キネマ旬報』8月下旬号。
 昔は映画のニュースって、ほとんど『キネ旬』に頼るしかなかったんだけれども、今やネットですぐに収集できるようになったので、記事がいささか古い印象を受ける。「角川大映」も、「『千と千尋』が赤いぞ」事件もとうの昔に知っちゃってる。だから今は、もっぱら見た映画の批評を読んで、自分の意見との違いなんかを確認するだけになってるんだよね、最近は。
 今回は『猫の恩返し』特集。森田宏幸監督のインタビュー、高橋望先輩が相当裏で動いたらしいことを暴露してくれている。高橋先輩、「みんなの意見をまとめると、どうもみんな柊さんの原作が好きで、少女漫画として映画にすることを期待してる」と森田監督に伝えたとの話だけれど、さて、ホントに意見をまとめたのかどうか。迷ってる森田監督に勢いを付けるためにハッタリかました可能性もあるぞ(ホントにちゃんとスタッフの意見を聞いてたんだったらごめんなさい)。
 『猫の恩返し』も、世間の評価は結構厳しいようだ。「宮崎アニメ」と比較して、「中身がない」とか抜かしてるバカ意見が多いけど、宮崎アニメに中身があったことなんてただの一度もないぞ。宮崎駿自身がそう言ってるんだからこれは間違いない(^^)。
 つまりは自分だけの妄想で映画見てるやつがどれだけ多いかってことだよな。もともとあの映画は「少女マンガ」というファンタジー、「成長する少女」なんて描くつもりはなかったってことだから、「少女の成長が描かれてない」とか「底が浅い」とか批判するのはお門違いなのである。
 興行収入はどうやら30億程度で終わりそうだが、『千と千尋』には遠く及ばないにしても、新人監督の作品としては充分なヒットだろう。ジブリブランドのおかげだろう、と皮肉るのは当たっていない。それならどうして『となりの山田くん』はコケたんだよ。映画をエンタテインメントとしてちゃんと作って、ちゃんと宣伝すれば、数字はついてくるんである。
 そして、映画を見る際にはこれが大事。エンタテインメントに「教訓」を期待しちゃいけないよ。これ鉄則。 


 マンガ、新沢基栄『フラッシュ!奇面組』1巻(エニックス/ガンガンコミックス・410円)。
 『奇面組』の新作が21世紀に読めるとはなんという感慨。
 高校のときに友達の女の子と、「奇面組、番組にも勝っちゃったよ!」と手を取り合って喜んだ思い出(バスケ大会の時の話ですな)が懐かしい。そんなことやっとったのかと言われそうですがやっとったんです。すみません。
 こないだよしひと嬢、塩浦嬢に見せたらやっぱり懐かしがられた。てことは、よしひと嬢は小学生、塩浦嬢は幼稚園のころか? ヘタすりゃ塩浦嬢はアニメの再放送でしか知らないんじゃないか。

 懐かしいことは懐かしいのだけれど、驚くべきことは、その中身が、絵柄もギャグも、二十年前と全く変わってなかったってことだね。
 何しろこの1巻、中学生編からのやりなおしなのである。続編ではなくリメイク。確かにカンペキに完結しちゃったお話だから、そうするしかないか。「奇面フラッシュ」や「イカリコング」のギャグを、まったく何のアレンジもせずに繰り返してるこの変化のなさは、おそらく作者の「律儀さ」の表れだ。リメイクにアレンジは要らない、改作はかつての作品との間に矛盾を生み出すだけだ、と新沢さんは考えているのだろう。
 律儀さゆえにギャグとしては今一つ破天荒になりきれなかった欠点はあるのだけれど、かつて、その上品さは、「汚い絵のギャグマンガ」が『ジャンプ』や『マガジン』で幅を利かせていく中では、まるで清涼飲料水のような爽やかさすら感じさせていたのだ。『奇面組』にエッチギャグは絶対に出て来ない。それが読者に安心感を抱かせていたのだ。
 もっとも、個人的にはオトナになった零くんと唯ちゃんとのラブコメってのもちょっと見てみたなあ、という気がしないでもない。けれど、ほんの少しでも生々しく描いた途端に読者の総スカンを食らうことは眼に見えている。やっぱり、「リメイク」しかなかったってことなんだね。
 でも、昔と同じく、腕組や番組、御女組とか出しといて、骨組やルッ組はなぜ出さなかったのかな。婦組が出せないのは時代に合わなくなってるから解るけど。でも好きだつたんだよ、子役締ひろ(^。^)。今更だけど、どうして新沢さん、アキナやキョンキョンはパロってたのに松田聖子はやらなかったのかな。小松田せいとか聖田松子とでも名前つけりゃ作れたろうにねえ。もしかして嫌いだったのかも。……一部のファンにはブリッコってことで蛇蝎の如く嫌われてたからなあ、聖子。そういう事実も今は世間から忘れられてるかなあ。
 なんか話題がずれちゃったな(^_^;)。


 マンガ、野中英次『課長バカ一代ベストセレクション 子供用』/『魁!! クロマティ高校』1巻「黎明編」2巻「登校編」(講談社/マガジンKC・各410円)。
 しげがいきなりこんなもん買ってきました(^_^;)。
 そう言えば、『クロマティ』の連載第1回、『マガジン』で立ち読みしたときまた妙なのが始まったなあ、と思ったもんだったけど、まさかウチに置くことになるとはなあ。
 池上遼一の絵柄で会社ギャグ、ヤンキーギャグをやるってだけのマンガだけどさ、もうこの志の低さがすばらしいね。諷刺とか権威への挑戦とかそんなの全くなし。ただひたすらアホなだけ。話が進むにつれてもう、会社マンガかヤンキーマンガかってことすらどーでもよくなってくる。メカ沢ってなんなんだよ、もう。


 マンガ、川崎郷太原作・伊藤伸平漫画『突発大怪獣漫画 永遠のグレイス』(少年画報社/ヤングキングコミックス・520円)。
 私が買うマンガで、しげが「どうしてつまんないのに買うの?」と文句をつける三大作家はあろひろしと伊藤伸平と小山田いくだと思うが、『課長バカ一代』買ってくるやつには言われたくないもんである。
 でもつまんないと言えば確かにつまんないんだよね、伊藤さん。オタクなのは作品の端々見てても解るんで、ついシンパシーを感じて本を買っちゃうんだけれど、オタクにも付き合って楽しそうな人と鬱陶しそうな人がいて、何となく後者のような気がするんだよなあ、伊藤さん。
 まず表紙が昭和29年版『ゴジラ』のポスターをそのまんまパロってんだけど、さて、イマドキこれをやらかすセンスをどう思うよ、って問題がまず一つある。パロにしては芸がないし、かと言って若い世代にゃ初代『ゴジラ』も見たことねえって人が多かろうから意味ないだろうし。知り合いや友達が表紙を見たとき、喜んでくれるとでも思ってるのかね、伊藤さんは。思ってんだろうな。困ったねえ。┐(~ー~;)┌
 タイトルの『永遠のグレイス』ってのも意味ありげだけれども、「エターナル・グレイス」ってのは「永遠の恵み=神の恵み」を表す言葉らしい。賛美歌にもそういう一節があるし、そういうタイトルや詩を含む曲を発表している歌手も複数いるようだ。原作の川崎郷太監督(すみません、『ウルトラマンティガ』見てなかったんで、どの程度の実力の方かとんと存じ上げませんです)が、このタイトルをどこから引用してきたのかは不明だけれども、作中に特にタイトルへの言及はないから、自由に解釈してくださいってことなんだろう。突然の怪獣の来襲を人々がどう受け入れるか、それもまた神の試練って解釈なのかね。……ちょっとありきたりではないかい?
 いや、基本アイデアは面白いのよ。あとがきマンガで川崎監督も描いてるけど、「60メートルの怪獣が出て来てもビル一つ離れたら見えない」「事件なんてニュースを見てなきゃ知らずにすんじゃう」という視点から、怪獣の破壊を尻目に自分たちのデートのことだけ考えてる待ち合わせカップルを主人公に、というのは実に映画的で面白いんだけどね。
 惜しむらくは、それを演出・表現する実力が伊藤さんには欠けていた、ということだろう。伊藤さんの描くキャラクターの最大の欠点は、好きなキャラの幅が極端に狭いということだ。性格の歪んだ美少女異星人ユニットとか、マシンガンぶちかます美少女テロリストとか、そういう性格破綻者を描かせたらすごく魅力的なんだけども、実は引き出しソレしかない(^_^;)。おかげで、フツーの女の子を主人公として描くことがとことん出来ないんだよねえ。
 主人公の麻美、しょっちゅう何か企んでるようなシニカルな表情を見せるけど、別に何も企んでない。つーか、ドラマの文脈から察するに何も考えてないはず。そんなキャラ、伊藤さんの引きだしにはないから、ついそういうチグハグな絵になっちゃうんだな。で、相方の緑坂だって、あそこまでアホで軽薄で外道なキャラに描くことはない。ドラマ上、緑坂は殺せないんだから、バカはバカでも、もちっと感情移入しやすいキャラにしないと、読者はキャラへの反発を「ドラマのつまんなさ」と勘違いしてしまう。そういう演出も伊藤さんには出来ない。多分、心の底からとことんああいう男が嫌いだからなんだろう。
 伊藤さんみたいなアニメ絵のなりそこないみたいな絵を描く人じゃなくて、もっと劇画チックな絵の人の方がこのドラマには合ってると思うんだけど、こういう共同作業って、縁だからねえ。この程度の出来に収まっちゃったのはいたし方ないことか。

2001年08月16日(木) 代打日記
2000年08月16日(水) 橘外男&中川信夫ワンダーランド/映画『女吸血鬼』ほか



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